“2006年度 21世紀COE航空宇宙流体科学サマースクール実施報告”


21世紀COE航空宇宙流体科学サマースクール

2006年7月2(日)−4(火)





   東北大学の21世紀COEプログラム「流動ダイナミクス国際研究教育拠点」が主催となり, 産業界,JAXAおよび東北大学教員・院生の交流を目的としたサマースクールが開催されました. 学内外から特別講師をお招きし,特別講演,学生による研究発表およびディスカッションを行いました.
   防衛庁第三研究所の楠瀬氏からは東北大学COEフェローの頃から精力的に進めておられる複葉翼を用いた 衝撃波の出ない超音速機に関して,これまでの翼単体の解析から一段階進んで胴体の空力解析結果のご講演がありました. 本学航空宇宙工学専攻の浅井先生からは航空開発における風洞の役割,そして,今後の風洞のあり方についてお話しがありました. 三菱重工業の竹中氏には,三菱重工業がプライムをとって開発を進めているNEDOの環境適応型高性能小型航空機開発プロジェクトを 中心に,実際の航空機開発プロセスとその中で用いられる解析技術の課題についてお話し頂きました. 日立製作所の杉村氏は掃除機等に用いられる軸流ファンについて,実際の製品開発における空力最適設計技術をご講演頂きました.
   JAXA 航空プログラムグループ 運航・安全技術チームの井之口氏からは飛行中の航空機周りの気流計測手法について ピトー管を用いた手法から最新のライダーを用いた手法まで紹介して頂き,さらに,ライダーを利用した乱気流検知手法への展開 についてお話し頂きました. JAXA 航空プログラムグループ 国産旅客機チームの横川氏,村山氏および今村氏からは航空機離着陸形態の風洞模型である JAXA高揚力装置模型に対する風洞試験結果,空力CFD解析結果および空力騒音源のCFD解析をお話し頂きました. 本学流体研の下山氏からはロバスト性を考慮した最適手法とその応用として火星飛行機翼の空力最適化についてご講演頂きました.
   特別講師の方々には最新の研究成果をお話し頂き,学生にとっては今後の研究を進める上で大いに刺激に なったことと思います. さらに,参加した学生は自らの研究を発表し,研究室ゼミとは異なる雰囲気の中で鋭い質問・意見を交換することができました.




- 特別講師と講演題目 -

◆ 楠瀬 一洋 氏(防衛庁 技術研究本部 第三研究所, 元東北大COEフェロー)
     - 衝撃波の出ない超音速旅客機を目指して

◆ 浅井 圭介 氏(東北大学 航空宇宙工学専攻課)
     - 21世紀の航空機開発と風洞実験−大学からのアプローチ

◆ 竹中 啓三 氏(三菱重工業 名古屋航空宇宙システム製作所 研究部 空力研究課)
     - 民間航空機空力設計に関する話題提供

◆ 杉村 和之 氏 (日立製作所 機械研究所 高度設計シミュレーションセンタ)
     - ファンの形状最適設計

◆ 井之口 浜木 氏(JAXA 航空プログラムグループ 運航・安全技術チーム)
     - 「気流を測る」 -JAXA大型プロジェクトでの計測と今後の応用-

◆ 横川 譲 氏(JAXA 航空プログラムグループ 国産旅客機チーム)
     - 高揚力形態航空機模型の低速風洞試験について

◆ 村山 光宏 氏(JAXA 航空プログラムグループ 国産旅客機チーム)
     - 航空機高揚力装置展開形態低速風洞試験に対するCFD解析について

◆ 今村 太郎 氏(JAXA 航空プログラムグループ 国産旅客機チーム)
     - JAXA航空プログラムにおける高揚力装置騒音解析事例の紹介

◆ 下山 幸治 氏(東北大学 流体科学研究所 教育研究支援者)
     - ロバスト性を考慮した新手法による火星探査航空機翼の空力設計最適化



- 参加学生 -

◆ 東北大学
浅井研廣瀬 悠一
齋藤 賢一
大林研三坂 孝志
山下 博
小濱研後藤 悠一郎
松崎 隆久
中橋研山崎 渉
高橋 俊