INSA-Lyon 滞在報告 圓山丸田研究室 伊吹竜太
 私は形状記憶合金の疲労の性質について研究を行うために、フランスのリヨン工科大学に5月上旬から6月上旬までの1ヶ月間滞在してきました。昨年度中にフランス人の研究員と学生とに知り合う機会に恵まれまして、彼らの人柄が気に入りフランスを訪れたいと思ったその半年後に幸いにもインターンシップという形で実現しました。不慣れな土地での生活で多くのことがなかなか思うようにはいかず、日々頭を抱えていました。流体研で研究を始めた右も左も分からないころの忙しさを久々に体験してきました。
 出発前に勉強を開始したフランス語はなかなか頭に残らず、即席で簡単な挨拶だけしか覚えられなかったのですが大学内では英語で話をしてくれる方が多かったので、こちらから話しかける分には苦労しませんでした。また一般的にフランス人は英語が苦手と聞いていたのですが、街中でも割と多くの人が気さくに対応してくれたので助かりました。
しかしながらおしゃべり好きなフランス人同士の会話を聞き取れなかったのは、惜しいことをした気がしています。
研空所内では廊下を歩いているとたいてい誰かがせわしなく廊下を歩いていており活気があり、良く擦れ違う方とは自然と挨拶を交わすようになりました。割り当てられた席は二人の学生さんとの相部屋でした。彼らの指導教官は私とは異なり、鉄鋼の強化について研究をしており、専門の違う学生さんと相部屋という環境は新鮮でした。
 研究では不慣れな装置や液体窒素を扱うということで、安全と装置破損を防ぐため最初にみっちりと使い方を指導していただきました。形状記憶合金の疲労試験では、試験を開始すると3日ないし5日は試験をしていて、空き時間にDSCでの変態温度測定や実験結果を元に教授とのディスカッションを重ねて、持参した試料の特性を探っていきました。滞在中はとにかく結果が欲しくて日々忙しく過ごしました。
 滞在最終日前日のことですが、御土産を買おうと市場へ行った際に、現金とカードを見事にすられ、無一文になりました。たまたま日曜日に学校に行くと言っていた学生を思い出し助けを求め、晩御飯をご馳走になり、なんとか元気を取り戻し、翌朝には指導していただいたGuenin教授にお金を借りて無事日本に帰ってくることができました。これからあちらに向かう方はくれぐれもご注意下さい。
 最後に、滞在中のリヨンでお世話になったGuenin先生、Morin先生、Choufさん、湯瀬さんをはじめGEMPPMの皆さん、高木先生、内一先生、今回のインターンシップの機会を与えてくださった圓山先生、ありがとうございました。