平成18年度国際インターンシップ体験記
東北大学大学院 工学研究科 ナノメカニクス専攻 徳山研究室 古林 敬顕
指導教員: 徳山 道夫 教授
研究課題: 複雑流体におけるシミュレーション手法の開発
派遣期間: 平成19年1月5日〜3月20日
派遣機関: アメリカ ボストン大学
受入研究者:  H. E. Stanley博士

    この度の派遣ではアメリカ屈指の学術地域であるマサチューセッツ州ボストン市のボストン大学に2ヶ月半の間滞在させていただきました。受け入れてくださったStanley教授は私の指導教員である徳山教授と30年来の 付き合いがある方で、今回の派遣を快く受け入れてくださいました。研究テーマは「複雑流体におけるシミュレーション手法の開発」ということで、Stanley先生の学生たちで構成される水の研究グループに参加させていただき、最も身近でありながらその性質が 完全に解明されていない「水」という対象についての研究を行いました。
    滞在していたボストン大学はボストンの中心街に位置し、そこから地下鉄やバスを利用すれば(あるいは徒歩でも)Harvard大学やMIT(Massachusetts Institute of Technology)といった世界最高峰の大学を訪ねる事ができます。実際に私が滞在していた研究グループは MITのChen教授のグループと交流があり、何度か訪ねて議論をしました。また、徳山教授にご紹介いただいたOppenheim教授を訪ねて研究の話はもちろん、それ以外にも色々なお話をさせていただいたり、他にもHarvard大学に講演を聴きに行く、Boston大学で行われた 招待講演を聴くなど、それら全てが滅多に出来ない貴重な体験となりました。
    参加させていただいた水の研究グループでは基本的に個人個人で研究を進めていたので当初は戸惑うことも多かったですが、MarcoやParadeepといった何人もの親切な学生たちとの交流を通じて研究も私生活も徐々に上手く運べるようになりました。 水のグループだけでなく、Stanley教授が受け持つ学生たちのほとんどはアメリカ外からきており、特に英語圏外からきた学生は私のように最初は戸惑ったらしく親身になって話してくれます。実際の研究ではまず水のシミュレーション手法を学び、 それを元に水と粒子を同時に扱う手法の開発に励みました。水単体のシミュレーション手法としては大別して自作プログラムを使用する方法と既存の学術ソフトを使用する方法を学び、それらに粒子を取り扱う部分を追加することを検討します。 残念ながらそれらが完成する前にインターンシップの派遣期間は終了してしまいましたが、今後も彼らと交流を保ち続け、議論を重ねていくつもりです。
    今まで色々な体験をしてきたが2ヶ月以上日本を離れて単独で生活し、その上で研究に励んだことは非常にいい経験です。海外の学生たちの能力はもちろんですが、そのモチベーションの高さとどん欲さ、そして研究に対する態度は学ぶべき点が多くあります。 これらの経験を今後に活かす事が何よりも重要であると痛感しております。最後に今回の派遣にご協力くださった皆様とCOEプログラムにこの場をお借りして心より御礼申し上げます。
左から私、Marco、Limei。両者とも水の研究グループ
私とOppenheim教授(MIT)
Stanley教授(残念ながら一緒に写真を撮ると約束した日に体調を崩されたのでお一人での写真)