平成18年度国際インターンシップ体験記
東北大学大学院 航空宇宙工学専攻 澤田・上野研究室  芳賀臣紀
指導教員: 澤田恵介 教授
研究課題: スペクトル体積法による高次精度非構造格子法の研究
派遣期間: 2006/09/01 - 2006/11/28
派遣機関: Department of Aerospace Engineering, Iowa State University
受入研究者: Dr. Z.J. Wang


 2006年の9月からおよそ3ヶ月間、米国中西部に位置するIowa州AmesにあるIowa State University (ISU)に滞在する機会を得ました。同年6月に開催された米国航空宇宙学会・応用空気力学会議を通じてISUのWang助教授から共同研究の打診があり、国際インターンシップでの受け入れを快諾していただいたという経緯があります。Wang助教授は高次精度の非構造格子法として知られるスペクトル体積法などの提案者であり、数値流体力学の分野で精力的な研究開発を行っておられます。現在、私はこのスペクトル体積法を利用した高次精度流体解析コードの開発を行っており、まさに最高の環境で本インターンシップを経験することが出来ました。 

 私は初めIowa州と聞いて具体的なイメージが湧きませんでしたが、調べてみると農業が盛んでトウモロコシの生産量は米国1位であるそうです。実際、空港がある州都のDes Moinesから大学のあるAmesまでの途中、車窓から一面に広がる畑が見えました。Amesは人口がおよそ5万人程の町で、周囲360度を見渡す限り山がなく水平線が広がる光景に初めの頃は違和感を感じていました。大学の周辺も平坦で真っ直ぐな道が続いているので、スケートボードなどで颯爽と駆け抜けていく学生がいるのも新鮮でした。大学の構内も緑が多く白鳥やアライグマなどの野生動物が棲む自然豊かなキャンパスです。 その中で航空宇宙工学専攻の建物は新しく、ガラス張りの現代的なデザインで際立っていました。

 今回のインターンシップではWang助教授の指導の下、時間積分にLU-SGS法を適用したスペクトル体積法の開発に取り組みました。定常問題に対しては従来手法に比べて10倍以上の効率化を示し、計算コストの低減が課題である高次精度非構造格子法を実用化に近づける成果を得ることが出来ました。また、関連手法で困難となっている粘性流れ場の離散化手法に関して、議論を通して理解を深めることが出来ました。この他にも共通する研究課題が多く、今後も情報を交換しながら研究を進めていく予定です。

 Wang助教授の研究グループには、アメリカ人の学生の他に中国やインドなどのアジア出身の学生が多く、彼らの多様な文化と英語に接することができ本当に興味深く勉強になりました。彼らと交流を深める中で、日本の歴史や文化に関する自分の教養が足りないことに気づいたことは大きな反省点です。しかし、それぞれの背景が異なっても研究の議論にかぎらず率直に話が出来る仲間ができたことは、今回のインターンシップで収穫した最もうれしいことです。このような貴重な機会を与えてくださった、Wang助教授をはじめとするISUの皆様、本COEプロジェクトに携わる先生方そしてスタッフの皆様に心から感謝致します。  

 


Howe Hall (Department of Aerospace Engineering)



Front (L to R): Yuzhi Sun, Prasad Tota, Chunlei Liang, Z.J. Wang, Ravi Kannan, Abrar Hasan
Back (L to R): Hong Yang, Andrew Gao, Takanori Haga, Rob Harris