PIVとは

PIVは流れの可視化技術にデジタル画像処理技術を加え,流れ場の瞬時・多点の速度情報を抽出する方法で, 流れの速度分布を調べる方法として最もよく利用されている計測方法の一つです.

PIVの原理

PIVは,流れに十分追従する微小粒子(トレーサ粒子)を流れ場に混入し, その粒子の速度を測定することで流れ場の速度を得ます. 具体的には,トレーサ粒子にシート状レーザ光を微小時間間隔Δtで照射することで 時間的に連続する2枚の粒子画像を撮影し, その画像間の局所的な相互相関関数から粒子の移動距離を求め,速度を算出します.

PIVを用いた瘤内血流解析とその問題点

これまで脳動脈瘤の 発症,進展,そして破裂には血圧や血流によるせん断応力が 深く関与していると言われており,PIVを用いた瘤内の速度分布の解析などが 数多く行われてきました.PIVによる脳動脈瘤内の血流測定は, in-vitro血流循環モデルを用いて,血流の粘性や密度を模した流体を流すことで行われていますが, 近年 行われている血流測定の多くは2次元断面解析です.しかし,脳動脈瘤の形状は非常に複雑であるため, 瘤内速度分布の3次元解析を行う必要性があります.

また,コイルやステントを用いて行う脳動脈瘤治療の目的は,どちらも瘤内に流れ込む血流を遮断し, 瘤内の血流速度を小さくすることです.そのため,治療前後において血流の変化を知ることは非常に重要ですが, 血流の変化の度合いを示す指標は未だに確立されていません.

当研究室では…

平行移動が可能な脳動脈瘤循環モデルを作製し,瘤内速度分布の3次元解析を行っています. 具合的には,モデルを2次元PIVシステム内で移動させながら測定(XY平面の2次元速度分布を取得)し, さらにモデルを90度回転させて測定(YZ平面 の2次元速度分布を取得)することで得られた速度分布をデータ処理し, 3次元速度分布(Fig.1)を算出しています. そして,この3次元的な瘤内速度分布の取得法を用いてモデル内に様々な流れを入力したときの瘤内速度分布の解析を行い, 血流の変化の度合いを示す指標を提案しています.

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