世界最大級の磁力支持天秤装置(MSBS)が可能にした究極の計測環境。 支持支柱による干渉を完全に排し、新技術DMRによる劇的な摩擦抵抗低減を実証。
磁力支持によって宙に浮揚する流線形模型(1m-MSBS内)
撮影:東北大学工学研究科機械系広報
航空機や船舶の燃費向上に不可欠な「空気抵抗」の低減。本研究では、模型表面に髪の毛の太さの半分程度の微細な粗さ「DMR」を施すことで、流体抵抗がどのように変化するかを調査しました。その結果、これまでの常識を覆す劇的な効果が明らかになりました。
最大抵抗低減率
計測干渉の完全排除
物理学・流体分野最高峰
従来の風洞試験では、模型を固定する「支柱(スティング)」が不可欠でしたが、その存在自体が気流を乱し、精密なデータ取得を阻んできました。
東北大学流体科学研究所が誇る1m大型磁気支持天秤装置(MSBS)は、強力な磁力によって模型を完全に浮かせることで、この干渉をゼロにしました。
Heritage & Global Standard
JAXAの澤田秀夫先生らから受け継ぎ、流体研で独自に進化したこの技術は、現在、英インペリアル・カレッジやオックスフォード大からも導入が熱望される、世界基準の計測インフラとなっています。
「なぜ摩擦抵抗が減ったと言えるのか?」
実際に減った抵抗の量は、理論上の圧力抵抗(剥離などが原因の抵抗)の全量よりも約5倍も大きかったのです。
これは、抵抗が減った原因が「空気の剥がれ」を抑えたからではなく、「摩擦抵抗そのもの」が大幅に減少しているという物理的・数学的な証明になります。
"DMR effect on drag reduction of a streamlined body measured by Magnetic Suspension and Balance System"
Journal of Fluid Mechanics (JFM)
著者:焼野 藍子, 奥泉 寛之, 猪熊 建登, 渡辺 佳是
この43.6%という抵抗低減は、将来的に航空機や船舶、さらには自動車などの大幅な燃費向上とCO2排出削減に直結します。