File.30宇宙機の燃料になるイオン液体とは?

液体は通常、たくさん集まった分子からできている。一方イオン液体とは、プラスイオンとマイナスイオンからなる液体だ。
このイオン液体は、蒸発しない、電気が流れるなど、水や油とは異なる性質を多く持っている。
そのためこれらの機能をうまく利用できないか以前から考えられてきた。ただしイオン液体には高温のものが多かった。
融けた食塩もイオン液体だが、800℃以上でなければ液体にならない。常温で液体となるイオン液体が合成されたのは1992年で、
本格的な利用研究が始められたのはつい最近なのだ。
高奈先生は、これを人工衛星や探査機のような宇宙機の燃料に使おうと研究を進めている。
イオン液体を内径100マイクロメートルの細い管に入れて電場をかけると、空気と触れている部分の液体表面に電荷がたまっていく。
電圧が高くなるにつれて液体の表面がとがってゆき、ついには直径数百ナノメートルの液滴となって高速で管から飛び出していく。
大気圧における実験では、一定の間隔で安定して液滴を飛ばすことができた。
同じようにイオンを飛ばすイオンエンジンという装置も、すでに実用化されている。
ただしイオンエンジンはプラスのイオンしか飛ばすことができない。そこでマイナスの電気を取り除くための中和器という装置が必要になる。
一方イオン液体は、プラスとマイナスのイオンを交互に飛ばすことが可能だ。そのためどちらのイオンも無駄なく使えて、中和器も必要ない。
さらに研究が進めば、イオン液体によってより遠くまで行ける宇宙機が誕生するかもしれない。

先生はピアノを演奏するそうで、ご夫婦いっしょに仮設住宅などでコンサートを行っているそうです。 2011年には河北新報社が震災に対する支援への感謝を伝えようと「ありがとうの詩」を募集しました。 その詩に先生たち宮城県にゆかりのある作曲者が曲を付け、詩集とCDになったそうです。