派遣研究者レポート

レポート No.6 菊川 豪太【RPI(アメリカ)】(2012年12月5日)

レポート No.6 菊川 豪太【RPI(アメリカ)】私は現在,米国のレンセラー工科大学(Rensselaer Polytechnic Institute, RPI)Materials Research Centerに滞在し,受け入れ先のP. Keblinski教授と共にポリマー高分子素材の熱輸送特性に関する理論および数値的研究を行なっています.広く産業利用されているポリマー素材であるポリエチレン等は,架橋(クロスリンク)を付与することにより力学的,化学的な特性を制御できることが知られています.また高温等の極限状態で利用される架橋構造を有するポリマー樹脂(例えば宇宙往還機表面に使われるアブレーション材料)は,それら分子の内部構造の変化・崩壊に伴う機械的・熱的特性の変化を予測することが極めて重要になっています.そこで我々はクロスリンク形成に伴うポリマー素材の熱輸送特性を,分子動力学法を利用して解明することを目指しています.本プロジェクトは互いの研究背景を高いレベルで融合する共同研究となっており,共同研究先が持つ材料科学の知識・数値計算におけるより高い技術と,我々が持つ輸送現象の背景にある分子論的メカニズムを機械工学的な観点から明らかにする方法論の融合によって,ポリマー内部における精緻な熱輸送機構が明らかになりつつあります.
こちらでの研究や成果の議論を通じ,研究における技術的要素のみならず,異分野からの理論的考察や学術的背景を取り入れることができ,日々新鮮な感覚を持って研究生活に没頭しています.将来的な研究展望を広げる感覚を忘れず,今後も研鑽したいと考えています.

キャンパスから見下ろすTroyの町並み
キャンパスから見下ろすTroyの町並み
研究室の全メンバーとの写真
研究室の全メンバーとの写真
架橋構造を持つアモルファスポリエチレンの計算モデル
架橋構造を持つアモルファスポリエチレンの計算モデル
アモルファスポリスチレンの構造(一分子のみハイライト)
アモルファスポリスチレンの構造
(一分子のみハイライト)

 

Back to top