派遣研究者レポート

レポート No.5 冨田 典子【SU(アメリカ)】(2012年12月5日)

レポート No.5 冨田 典子【SU(アメリカ)】私は、米国シラキュース大学生物物理学科の Liviu Movileau 教授の研究室に滞在し、細胞膜チャネルと人工脂質二重膜小胞を利用した、膜強度多様化血球モデルの開発を行っております。様々な種類の脂質から成る人工膜上に形成させたチャネルの数と活性状態の違いを解析するために、脂質二重膜上のチャネルの開閉動態をサブミリセカンドの時間分解能で解析することができる平面脂質二重膜システムを使用しています(写真)。Movileanuラボは、タンパク性ナノチャネルを、分子センサーや、DNAシークエンサーとして利用する"ナノデバイス開発"に携わっている有数の研究室であります。本共同研究は、最先端の "タンパク質工学技術" を用いてチャネルの性能を高める技術を持つ研究室に、"脂質構造学的視点"という新たな視点を提唱するところから始まりました。現在、Movileanuラボの組換えチャネルタンパク質を用いて、脂質の形状が電圧依存的にチャネルのクロージングを誘導し、チャネル内を流れるイオンの減少速度を変化させるという事実を発見しました。脂質構造学とタンパク質工学を融合させてチャネル内の流体変動を見出すことができ、本共同研究は、確かな展開を見せております。米国研究者の熱意と広い視点を学び、一方で、日本の研究技術が持つ繊細で堅固な視点を伝え、東北大学とシラキュース大学生物物理学科の共同研究の基盤を築いていけるよう、今後も研鑽して参ります。

人工脂質二重膜小胞(リポソーム)作成時に撮影
人工脂質二重膜小胞(リポソーム)作成時に撮影
平面脂質二重膜システム実験の様子
平面脂質二重膜システム実験の様子
チャネルの開閉動態を解析中
チャネルの開閉動態を解析中
研究室の学生と生化学実験のディスカッション
研究室の学生と生化学実験のディスカッション

 

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