直角分岐管内流れの数値解析

 


 

腎動脈分岐部は,ほぼ直角な分岐管となっており,この部位でアテローム性動脈硬化症が多発することが知れられている.動脈硬化症は特定の部位に局所的に発生することから,病変の成因と血流との関連が早くから指摘され,さまざまな観点から研究が行われてきた.

このような直角分岐管を通る定常層流において,枝管内の流れに周期的な速度変動が発生することが実験により示されている.

本研究では,この振動現象の発生機構を解明するため,直角分岐管内流れの数値解析をSIMPLER法により行なう.なお,計算には流体科学研究所スーパーコンピュータOrigin2000を用いている.

 

 

 

Fig.1 直角分岐管モデル

左図は本計算で用いる直角分岐管モデルである.主管と枝管はシャープエッジで接合されている.境界条件は,主管上流端でポアズイユ分布の速度境界条件を与え,主管および枝管下流端では圧力境界条件を与えている.

 

 

 

    

(a)2次流れ


    

(b)軸方向速度


Fig.2 枝管断面の流れ場

左図は枝管部断面の流れ場の様子である.(a)は2次流れベクトルを,(b)は軸方向速度を示している.この流れ場の様子は実験で観測される流れ場とほぼ一致している.また,実験でみられる軸方向速度の周期的な振動も本計算で再現できている.

 




・参考文献

内藤,早瀬,白井,山口,直角分岐管内流れの数値解析(シャープエッジの分岐管全体の解析),日本機械学会講演論文集,第13回バイオエンジニアリング講演会・No. 00-35(2000),76-77.