DSL






2011年6月25日に7th International Conference on Diffusion in Solids and Liquids (DSL、日本語で「第7回固体および液体での拡散の国際会議」)がポルトガルの南にあるAlgarve地方に開かれた。

私の専攻である物質拡散物性値測定と一番かかわっている国際会議だと思ったので、本学会に参加し、自分の研究を発表することにした。
今回DSLで発表したのは「水溶液内の物質拡散係数濃度依存性に関する実験的な評価」であった。僕の発表は2日目で、15分間の口頭発表と、5分間の質疑応答だったが、本学会は時間にあまり厳しくなかったので、合計で約25分間となった。 ディスカッションは面白かった。最初に聞かれた質問はカナダ人の科学者からの質問で、「本測定系を多成分系に応用できるか?」ということだった。 これはちょうど学部生のときに行った研究だったので、既存の研究成果である「希薄領域での多成分物質拡散係数測定」について話した。

そして、ディスカッションが始まり、干渉計の測定限界というところまで至った。次にロシア人の博士に「本干渉計で対流を測定することができるのか?」と聞かれ、ちょうど現在の研究テーマなので、いろいろな実験条件での詳しい情報を説明した。 今まで自分で実際にやっとことについて聞かれて正確に答えられたので、研究者として成長してきた気がした。 最後の方はイラン人の教授だったと思うが、少し批判的なコメントをいただいた。「相互作用の評価」というのは定量的な評価とよく聞こえ、実験結果の考察と少し違うのではないかというコメントでした。 確かに「評価」という言葉は少し曖昧な表現なので、聞き手によって期待されることが異なる。今度の国際会議での発表では言葉遣いにより注意する。

DSLの3日目はポルトガル人の教授の発表に参加し、「多成分系物質拡散係数の濃度依存性」のようなタイトルの発表を聞いた。
この発表で、僕が始めて国際会議で質問をした。卒業研究でできていなかったところ、高濃度領域での多成分拡散係数測定について質問をし、議論を行った。 発表の後、その先生とまたディスカッションして、今度より詳しい情報を交換するために連絡先を教えってもらった。

学会は3日間であっという間に終わって、圓山先生と一緒に少し観光する機会があった。学会のソーシャルイベントで、学会が行われたVilamuraから「世界の端」というところまで、往復3時間で行ってきた。 サン・ヴィセンテ岬は「世界の端」(英語で "The End of the World")というところだが、ヨーロッパの一番西の場所であるらしい。ヨーロッパ人は数千年でそこまでしか行けなかったため、世界の端っことして考えた(もちろん、僕が生まれたコロンビアは当時まだヨーロッパ人に発見されていなかった)。 ところで、ポルトガルではポルトガル語が話され、びっくりするほどスペイン語と非常に似ている。僕がスペイン語、相手がポルトガル語で話していて会話は80%ぐらい成り立った。本当に面白かった。今回、国際会議ということでポルトガルを観光する時間がほとんどなかったが、またプライベートで1週間ぐらいAlgarve地方に行ってみたい。また、DSLで知り合った二人の先生と連絡を取り続けて、将来共同研究ができればいいなと思う。