メンバーリスト:
東北大学 流体科学研究所 中名生大樹、加藤博司、大林茂
電子航法研究所 吉原貴之、工藤正博
宇宙航空研究開発機構 杉浦正彦、又吉直樹

内容:
後方乱気流は、飛行中の航空機後方に発生し、後続の航空機にとって非常に危険です。また、後方乱気流は離発着時の航空機後方で最も強くなることが知られており、現在ICAOによって離発着にはある一定の間隔が定められています。しかし、この離発着制限は空港管制を非効率にし、また、今後20年の間に航空輸送量は約2。5倍に増加することが予想されており、この離発着間隔の最適化が強く求められています。

後方乱気流

離発着間隔の最適化を行うためには、後方乱気流の挙動を詳細に解析し予測することが求められます。そのため、我々は、これまで仙台空港に設置された後方乱気流検出装置(ドップラーライダ)を利用し、計測と計算の両手法で研究を進めてきました。

ドップラーライダ(仙台空港)


これまでの成果:


仙台空港ドップラーライダを活用した
後方乱気流移流データベース


4次元変分法による後方乱気流シミュレーション
気象因子と後方乱気流の相関関係の把握を観測データから行いました。
ライダ観測だけでは困難な後方乱気流全体の構造を実験とシミュレーションを融合することで示しました。

   
気象予測モデルとのネスティングシミュレーション(理学研究科岩崎研との協力)
シミュレーションの初期・境界値の設定を気象予測モデルで行い、海風中の水平ロール対流と後方乱気流の干渉を示しました。


将来の展望:
後方乱気流管制間隔の最適化を目指した研究は、実現象である後方乱気流の挙動の詳細な把握が求められます。そのため、計測、計算の手法を単独に用いるだけでは非常に困難なテーマです。今後、計測と計算を真に融合した手法を開発することで後方乱気流の詳細な挙動解析が可能になり、また、空港運営の効率化へとつなげていくことができると考えています。