メンバーリスト:
小林 秀昭、 大上 泰寛、 中村 寿

 次世代の超音速推進システムとして、現在、スクラムジェトエンジンの研究開発が広く行われている。スクラムジェットエンジンは高飛行マッハ数においても高い比推力を有するが、エンジン内部の気流は超音速流であり安定的な燃焼を実現することが極めて困難であることから、超音速流中における保炎技術の確立が大きな課題となっている。


衝撃波の入射位置が保炎に及ぼす影響
 スクラムジェットエンジン内には衝撃波が多数存在するが、飛行条件により衝撃波の強度、位置が変化することから速度場、濃度場が変動し、結果として燃焼場に大きな影響を及ぼすことが予想される。
 本研究では、入射衝撃波を伴う壁面燃料噴流場において、OH ラジカルに対するレザー誘起蛍光法(OH-PLIF)を用いた火炎構造の観察を行うとともに、燃焼場に対する三次元定常数値計算を行い、入射衝撃波を伴う壁面垂直噴流場における保炎メカニズムの解明を試みた。




 OH-PLIF計測結果から、衝撃波を燃料噴射スロット下流に入射した場合、衝撃波前後で分割された特徴的な火炎構造となることが確認されたが、三次元数値計算においても同様の傾向が見られた。また、計算結果において、主流から再循環領域に向かう大規模循環構造が確認されたが、これにより燃料スロット後流において予燃焼ガスと主流空気の混合が促進され、安定した火炎基部が形成されることで保炎に寄与することがわかった。

今後の研究においても、レーザー計測および数値計算を利用することでスクラムジェットエンジン内部の保炎メカニズムの解明に取り組み、得られた知見を用いた燃焼制御の高度化に貢献することを目指して研究を行う。