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伊賀由佳(流体研)、吉田義樹(JAXA)、新井山一樹(JAXA)
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![]() 液体ロケットエンジンの推進剤である液体水素および酸素の様な極低温流体中でキャビテーションが発生した場合、キャビテーションの熱力学的効果と呼ばれる現象が発生することが知られています。これは、液温が高いほどキャビテーションが発生しにくくなるという、ターボポンプにとって好ましい効果です。しかし、そのメカニズムが完全には解明されていないために、液体ロケットターボポンプのキャビテーション性能を予測することが難しいという問題があります。そこで本研究では、JAXA角田宇宙センター・ターボポンプチームとの協力体制のもと、JAXA角田の極低温キャビテーション試験設備による実験と、流体科学研究所のスーパーコンピューターを用いた数値解析によって、キャビテーションの熱力学効果の解明と物理モデルの構築を試みています。
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![]() Distributions of void fraction (upper)、 evaporation speed (middle)、 and condensation speed (lower) in liquid nitrogen at 88。64K (σ = 0。0034、 ψ = 0。145、 φ = 0。141)
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![]() キャビテーションの熱力学的効果は、液体ロケットエンジンだけではなく、LNG(液化天然ガス)などの極低温流体や、発電プラントの冷却系を流れる高温高圧水などでも発生します。この現象が解明されれば、我々を取り巻くエネルギー環境のインフラ整備などにも貢献できると期待しています。
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