研究内容

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1.大気圧プラズマ流による細胞の活性化・不活性化機構


プラズマが生成する化学種が細胞にどのような影響を与えているのかを解明し,プラズマ医療の基礎学理と応用を目指します


プラズマ流を制御し照射することで,細胞を活性化したり不活性化したりできることを明らかにし,その生体応答機構を形態や生存率,遺伝子応答などを解析することで解明を目指しています.また,プラズマが生成した化学種の輸送機構の解明も取り組んでいます.

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T. Sato et al., J. Phys. D: Appl. Phys., 44 (2011), 372001

M. Yokoyama et al., BBRC, 450 (2014), 1266

T. Miyahara et al., AIP Advances, 4 (2014), 047115

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  がん細胞       プラズマにより死滅
          した様子

 

 

2.大気圧低温プラズマ流による滅菌装置と滅菌機構


マイクロ波アルゴンプラズマ流による滅菌装置


マイクロ波トーチ内
で発生したプラズマを噴出させ細菌に照射する方法です.プラズマ流からの微弱発光の可視化による活性種分布や数値解析により熱流動場を明らかにしました.大腸菌照射実験より,細菌の断面が扁平になることや細菌からカリウムが漏出することを突き止め,生成された化学種が細胞壁と細胞膜に損傷を与える事を明らかにしました.


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T. Sato et al., Applied Physics Letters, 89 (2006), 073902.

T. Sato et al., IEEE Trans. Industry Appli., 42 (2006), 399.

T. Sato et al., IEEE Trans. Industry Appli., 43 (2007), 1159.

T. Miyahara et. al, Europhysics Letters, 86 (2009), 45001.

T. Sato et al., New Journal of Physics, 11 (2009), 115018.

国際出願 PCT/JP2005/15431, 特願2007-001999, 特願2008-06604

 

 

大気圧低温プラ  励起N2分布
ズマ流の
可視化


プラズマ照射による大腸菌の形状変化.
右が照射後



細管内プラズマ滅菌装置


プラズマ
流動制御により,低温ラジカルの輸送・濃縮を行い,低耐熱性材料の滅菌・表面改質を行う装置を開発しました.実用化に向けて,長さ100 mm内径 3 mm の細管内壁を壁温70℃,滅菌時間5分,消費電力13Wで滅菌可能なシステムの開発に成功しています.本研究では,細管内のプラズマ発生領域を不均一にすることで,低電力で安定にプラズマを発生させ,不均一性を利用した双子渦の流れを利用して生成した化学種を輸送する画期的な手法を提案しました.


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T. Sato et al., Plasma Processes and Polymers, 5 (2008), 606.

T. Sato et al.., IEEE Trans. Industry Appli., 45 (2009) , 44.

特許4898635号,4902842

国際出願PCT/JP2006/315958, 特願2005-270014,特願2006-220400,




   

流動場: 双子渦の形成 発光分布: 400nm



ストリーマ進展時の電子数密度分布の時間変化
(数値解析)



大気圧水蒸気プラズマ滅菌装置


大気圧
100℃の水蒸気を利用したプラズマ生成システムの開発を行い,OHラジカルの生成輸送制御による滅菌装置を開発しています.水蒸気プラズマによりOHラジカルを生成させ,100℃30分程度でプラズマ生成部近傍の滅菌が可能であることを明らかにしました.

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古居,佐藤,日本機械学会論文集B編,70 (2008), 879. 

特許4881249

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水蒸気中に生成したプラズマ



3.水中ストリーマの進展機構


水中の微小高速放電現象の解明と制御を行い,細胞照射用水中プラズマ発生装置の開発を目指します


水中に形成される一次ストリーマは,細いストリーマチャネルが2.5 km/s程度で半球状に広がり最終的にフィラメント状に進展します.また,ストリーマが微小パルス状放電電流と共に進展することを明らかにしました.さらに,20 km/s程度で高速進展する2次ストリーマは,放電電流に連続成分が観察される時のみに進展することを明らかにしました.これにより,2次ストリーマと1次ストリーマを電流波形からのみ区別する手法を提案しました.

ストリーマ進展開始前に電極先端に形成される気泡群は,ストリーマ進展に必要な電荷の蓄積と突起状気泡の形成による電界集中の役割を担っていることを明らかにしました.

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H. Fujita et al., J. Appl. Phys. 113 (2013), 113304.

H. Fujita et al., EPL, 105 (2014), 15003.

H. Fujita et al., IEEE Trans. Plasma Sci. 42 (2014), 2398.

H. Fujita et al., J. Appl. Phys. 116 (2014), 213301.

藤田・他,静電気学会誌,39 (2015), 21.(静電気学会論文賞)


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水中に形成される1次ストリーマ進展の様子

水中に形成される2次ストリーマ進展の様子



4.プラズマ誘起キャビテーション気泡の挙動

水中でプラズマにより生成した気泡のリバウンド挙動を明らかにすることで,水中プラズマ医療器具開発に向けた基礎研究を行っています


レーザーやスパークを利用した高熱源による気泡生成時に水素ガスが生成され気泡に取り込まれることで,リバウンドの挙動が変化することを,スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)のFarhat先生のグループとの共同研究で明らかにしました.

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T. Sato et al., APL102 (2013), 074105.

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水中に形成される気泡の挙動



5.気液プラズマ流による熱流動場形成と化学輸送

気液界面を介する化学輸送の解明を行い,プラズマ医療への応用を目指します

水面上に形成したプラズマが気相中に熱流動場を形成すること,それにより水中に流れが誘起されること,気相中に生成された化学種が水中に溶解し主として対流により輸送されることをマックスプランク研究所(ドイツ)のモーフィル先生のグループとの共同研究で明らかにしました.また,プラズマによる誘起流れの生成機構についても詳細に明らかにしました.

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T. Shimizu et al., New J. Phys., 13 (2011), 053025.

T. Shimizu et al., J. Photochem. Sci. Tech., 24 (2011), 421R.

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水面上のプラズマにより形成される熱流動場.秒速15 m/s程度の気流が放電時に発生する様子