産業分野で用いられる電気加熱ヒータは、高品位の電気エネルギーを単なる熱として多量に消費するため、エネルギーの有効利用という観点で大いに問題があります。もし電気加熱ヒータの替わりに、化石燃料の燃焼熱を直接加熱に利用できれば、大幅な省エネルギーが期待できます。工業炉などの大スケールの加熱器では、多種多様の実用燃焼器・炉が稼働し、こうした需要を広く満たしています。しかし加熱器のスケールが小さくなるにつれて、「表面積／体積」の比が大きくなり、熱損失が増加します。このため、一般に燃焼の維持・制御が困難となります。また極端に小さなスケールでは、壁面での火炎の消炎により燃焼が不可能となります。

当研究室ではスイスロールバーナにより強度の熱再生を行う手法を新たに開発し、微小スケール下で安定な燃焼を実現することに成功しました。また燃焼式でありながら電気ヒータ並みの温度制御性と、条件によっては電気ヒータの2倍を越える省エネ性を有する、熱源用マイクロコンバスタの開発に成功しました。現在、燃焼器の大きさは一円玉と同程度の大きさ（直径20 mm）まで小型化することができました。

（石川島播磨重工業との共同研究・平成14年度～16年度NEDO事業）

Swiss-roll microcombustor in operation
(Diameter: 64 mm)

Coin size combustor
(Diameter: 20 mm)