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東北大学流体科学研究所
所長 大林 茂
流体科学研究所は、前身の高速力学研究所設置から数えて、創立75周年を迎えました。
本研究所は「時空間における流れの研究を通じて人類社会の永続的発展をめざす」ことを理念としています。
2030年までに世界の研究者が集う流体科学における世界拠点の形成を実現し、新学術分野の国際共創、安全・安心・健康な社会の実現、快適で豊かな社会の実現を目指します。空間的連続と時間的変化を表した流れという概念が「不易」、その応用として扱う流れの研究が「流行」、それらは一つの流体科学です。
本研究所は、「不易流行」を実践し、常に新しい風を起こす世界最先端の研究所として社会に貢献してまいります。
今後ともご支援、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
流体科学研究所は、1943年に東北帝国大学高速力学研究所として発足し、1989年の改組転換により、流体科学研究所と改名、あらゆる「流れ」を扱う世界でもユニークな研究所として、2018年に創立75周年を迎えました。
秋に開催される記念式典を始め、高速力学研究所の初代所長、沼知福三郎名誉教授を偲び、功績を未来に残すための『沼知文庫』、そして、75年間の軌跡を辿る記念誌制作に取り組んでおります。この75周年記念事業を通じて、本研究所に関わった方々、企業様、共同研究先や地域の皆様に感謝の意を伝えるとともに、今一度、沼知福三郎名誉教授の業績を振り返ることで、今後のさらなる発展を目指してまいります。
東北大学流体科学研究所は、
創立75周年を迎えた2018年10月5日(金)に
記念式典を開催しました。
記念式典では、大林茂所長の式辞に続いて、
大野英男東北大学総長より挨拶、
西井知紀文部科学省研究振興局学術機関課長より
祝辞が述べられました。
また、研究所の75年間の歴史と2018年8月より運用を開始した
新スパコンシステムが紹介されました。
1943年、流体科学研究所の前身である高速力学研究所が創設され、初代所長である沼知福三郎教授は日本における流体力学やキャビテーションの研究を牽引、研究所はジェットエンジン・エネルギー変換機器などの開発や流体に関する基礎研究に関わり、世界をリードしてきました。1989年には名称を変更して、流体科学研究所とし、目的を「流体に関する学理およびその応用の研究」と改め、流動科学に関する研究を行っています。時を経て、今もなお、沼知所長の研究精神はこの流体科学研究所に生き続けています。
『沼知文庫』は沼知教授の愛用した机や書籍を含むゆかりの品々を後世に伝えるべく2018年、本研究所の75周年を記念して設置いたしました。
(流体科学研究所2号館5階)
1898年 茨城県生まれ。東北帝国大学に入学し、機械学科にて学んだ後、文部省の在外研究員としてドイツ、イタリア、アメリカ合衆国へ留学。その後、東北帝国大学工学部機械工学科水力学実験室の教授に就任し、高速水流を主な題材にキャビテーションの研究に取り組みました。この分野で日本を牽引する沼知先生の業績をもとに1943年、流体科学研究所の前身である高速力学研究所が「高速力学に関する学理およびその応用の研究」を設置目的として創設され、沼知先生は初代所長に就任。1950年には「翼型のキャビテーション性能に関する研究」により日本学士院賞を受賞。停年退官までの18年5ヶ月間を所長として、そして、研究者、教育者として研究所の発展に尽力され、1976年には文部省より文化功労者に選ばれました。
研究の傍ら、盆栽や鯉釣りなどを楽しみ、盆栽においては関連書籍へ掲載されるほどの腕前でした。