File.23原子レベルで化学反応を制御する

半導体の加工方法の一つに、プラズマエッチングがある。これは気体に電圧を掛けて作ったプラズマを使い、材料表面を削っていく方法だ。
この気体中には、さまざまな種類の原子や分子、イオン、ラジカル(イオンにはなっていないが反応しやすい状態の粒子)が混在している。
また、これらの粒子が持つ運動エネルギーの大きさもばらばらだ。こういった複雑な粒子の状態を正確に知り、思い通りに制御することが、
半導体を製造する上では重要なテーマになる。
そこで久保田先生は、加工するウェハ(半導体の板)上に直接センサーを組み込んだ「オンウェハセンサー」の開発に取り組んでいる。
先生が写真で手に持っているのがその試作品だ。通常は計測の難しい真空の製造装置中で、様々な粒子のエネルギーの大きさをワイヤレスで計測できる。
一方、プラズマエッチング中のウェハ表面では主に化学反応が起こっている。
先生はこの現象を原子1個のレベルから解き明かそうとしている。特にエッチングの難しい材料に、周期表で3~13族の元素である遷移金属がある。
この遷移金属を、有機物と中性粒子ビームを使うことでエッチングできることが分かった。
先生はこのメカニズムをコンピュータシミュレーションと実験の両面から解明中だ。
それによると、有機物と遷移金属が、中性粒子ビームの作用により結びついて、錯体と呼ばれる揮発性の分子を作ることでエッチングされるらしいことが分かったという。
この反応をうまく制御できれば、より寿命の長い次世代メモリの実用化が可能になるということだ。

休みの日は2歳半のお子さんと過ごすことが多いそうです。元気でかわいい盛りな一方で、ちょうど「いやいや期」だそうで、 何でも嫌がって大変だとか。毎日格闘している状態だそうです。写真はそれぞれ、みちのく杜の湖畔公園と鯉のぼりの時期の 広瀬川宮沢緑地に家族で遊びに行った時のものです。