File.29隕石による衝撃波を予測する

孫先生は、小隕石の大気圏突入のコンピュータシミュレーションに取り組んでいる。きっかけは、2013年に起きたロシアでのチェリアビンスク隕石の落下だ。隕石が大気圏に突入し、また分裂することにより生じた衝撃波は、4500戸の建造物を破壊し、1500人のけが人を発生させるなど大きな被害をもたらした。被害のあった範囲は、進行方向に120キロメートル、横幅80キロメートルにおよぶ。一方、隕石が大気圏に突入した高度は100キロメートルだ。「これだけ広い空間において隕石による衝撃波を予測することは難しくなります」と孫先生はいう。その理由は、隕石とシミュレーション空間のスケールの差だ。チェリアビンスク隕石の直径は18メートルである。これはシミュレーションしたい空間の長さに対して1万分の1にすぎない。シミュレーションは空間を小さな立体(格子)に切り分けて計算するが、格子のサイズを隕石に合わせると、格子の数は膨大になる。そのままだと最先端のスパコンでも計算しきれない量になってしまうのだ。 そこで先生が取り組むのが、サブグリッドモデルを適用したシミュレーションである。サブグリッドモデルとは、計算する格子より細かい流れ現象に対して定義する、物理法則に基づいた近似モデルだ。隕石のサブグリッドモデルを通常の格子と連携させることで、細かい格子を使わずに流れ現象を計算することができる。衝撃波をこのモデルによってうまく計算できるようになれば、隕石のもたらす被害を予測する可能性が開ける。またそれだけでなく、同様に扱うスケールの差が大きな流体現象への応用も可能になるだろう。

週末はよくお子さんと釣りに行くそうです。写真の場所は仙台港の近くにあるスリーエム仙台パークです。震災の影響で復旧工事中でしたが、2年前に再オープンしました。お子さんが持っているのはワタリガニです。ここではサバが釣れるので、それを餌にするとたくさんワタリガニが捕れるそうです。