File.47地下を理解しエネルギー問題を切り拓く

椋平先生は、次世代地熱開発やシェールガスの採掘が行われている場所で起きる、「誘発微小地震」の研究に取り組んでいる。シェールガスとは、シェール(頁岩。堆積岩の一種)の内部のすき間に存在する天然ガスのことだ。地熱資源やシェールガスは技術の発展によって利用可能な資源となり、現在アメリカを中心として活発な採掘が行われている。そこで使われる採掘技術の一つが、高圧の水を注入することによって岩を割り、小さなすき間を広げて地熱流体やガスを取り出しやすくする「フラクチャリング」である。 フラクチャリングの際には小さな地震が誘発される。この誘発微小地震は、通常は人が気づかない程度の大きさだ。だが思いの外大きい場合もあることが分かってきた。椋平先生は、この人工的な地震の際に得られる各種データと独自の解析方法を駆使して、そのメカニズムに迫ろうとしている。誘発微小地震の震源は浅く、あらかじめ大きな断層のある場所は避けられる。一方、自然の地震は10キロメートル以上の深いところで発生し、断層のずれによって揺れが生じる。条件の違いがあるが、これらの地震の間の共通点も分かってきたという。 さらに椋平先生は、研究成果を地熱発電の普及やリスク回避にも応用しようとしている。「地熱発電は将来の日本で欠かせないものになるでしょう」と椋平先生は語る。日本の地熱資源量は世界3位と見積もられているが、実際の発電量はまだ多くない。先生の研究はエネルギー問題や地震のメカニズムの解明において大いに役立つものになるだろう。

登山やキャンプ、ハイキングなどアウトドアが大好きだそう。スイスで研究をしていた時は、山がとてもきれいで頻繁にハイキングに行っていたとか。スイスのアルプス造山帯は特徴的で、地球の動きをダイレクトに感じられるといいます。なお地質が専門の仲間とハイキングに行く時は、必ず地球科学談義が始まるそうです。