2. 熱雑音増大による固化現象の コロイド分散系における計算モデル |
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A. | 研究目標 | B. | 研究成果 |
飛行機に乗ったときや学校などの避難訓練では、緊急時に落ち着いて行動することが求められる。なぜなら多くの人が興奮状態で出口に殺到すると、人が団子状になってうまく脱出できなくなるからである。この、興奮状態で人の集団が団子状に固まってしまう現象は、実は計算機実験によっても研究されている。参考文献 [1]のなかで、著者たちはこの現象を「Freezing by Heating」と呼んでいる。
本研究では、この現象がコロイド分散系においても同様に起こるのかを研究した [2]。なぜコロイド分散系かというと、参考文献[1]では、「興奮」の効果を「熱雑音」として導入していて、コロイド分散系ではコロイド粒子が Brown運動することが知られており、Brown運動は、数式的には「熱雑音」として表現される、したがって、「Freezing by Heating」を確認するためのコロイド分散系の計算モデルを作成する事は容易であると考えられるからである。
その結果、コロイド分散系での「Freezing by Heating」の計算モデルを作成することに成功した。
コロイド分散系の計算機実験は図1のような系で行った。粒子数は80粒子で、半分の青色の粒子には左方向への駆動力、もう半分には右方向への駆動力をかける。実験結果として、熱雑音の大きさをθとしたとき、θが小さいときはほとんどの場合、動画1注)のような大きなレーンを形成したが、あるθ領域で「Freezing by Heating」が確認された(動画2)。
注)動画は画像をクリックすると開きます。
図1:実験系
参考文献
[1] D. Helbing, I. J. Farkas, and T. Vicsek, Freezing by Heating in a Driven Mesoscopic System, Phys. Rev. Lett. 84, 1240 (2000).
[2] K. Hidaka, Y. Terada, and M. Tokuyama, Brownian-Dynamics Study on Freezing by Heating, Abstract of Slow Dynamics in Complex Systems, 334 (2003).
[3] 日高 邦昌, 徳山 道夫, 寺田 弥生 コロイド分散系における熱雑音増加による固化現象の計算モデル
流体研報告, 15, 123-131(2004).
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