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文部省 中核的拠点形成プログラム

複雑媒体中の衝撃波現象の解明と学際応用

研究成果

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複雑媒体中の衝撃波現象の解明

1. 衝撃波の基礎研究

 

1.1 反射衝撃波の非相似性の発見

くさびや凹、凸面を過ぎる衝撃波の反射には、衝撃波背後に発達する境界層の影響で従来の理論とは異なり、相似則が成り立たないことが実験的に、また、数値解析的に確認されました。これは気体粘性の効果で、流体力学の教科書を書き直す発見です。

 

1.2 渦と衝撃波の干渉

 渦と衝撃波の干渉は衝撃波力学の重用研究です。実験と数値解析の手法を駆使した研究で様々の新しい事実が分かりました。
 

 

実験                                                                    数値解

角を過ぎる衝撃波とその背後に現れる渦、衝撃波マッハ数1.5

 

1.3 衝撃波発生装置の発展

毎分60,000回転する円筒のまわりには衝撃波が現れ、この衝撃波を利用する基礎と応用研究が進行中です。

 

 

1.4 衝撃波計測法の開発

気体や液体中の衝撃波現象を、粒子速度計測法、光散乱計測法、二重露光ホログラフィー干渉計法、分光計測法などで計測しています。その結果は数値シミュレーション法の結果と比較され、衝撃波の挙動を定量的に明らかにしています。

 

1.5 極超音速ノズル流れの検証

 

     

極超音速ノズル流れにおいた球のまわりの有限干渉縞ホログラフィー干渉計写真をフーリエ縞解析をして、球のまわりの密度場を定量的に求めることができます。

 
2 複雑媒体中の衝撃波の挙動

  2.1 非一様媒体中の衝撃波

ウレタンフォームに衝撃波を入射したときの変形と衝撃波伝播をホログラフィー干渉計法で可視化した結果です。衝撃波負荷の違いによってフォームの挙動に違いが認められました。

 

縦型衝撃波管                                                   横型衝撃波管

 
2.2 気中および水中での微小衝撃波の発生

  微小アジ化銀ペレットをレーザー光照射で起爆する技術を確立し、気体中および液体中で球状衝撃波を制御して、発生することに成功しています。

 

  2.3 気泡と衝撃波の干渉、極微小気泡

 各種液体中で球状衝撃波を作用させた気泡の挙動をホログラフィー干渉計法で観測しています。特に、直径 0.01mmのリポゾーム気泡に作用させたときの挙動は様々の応用につながります。

 

2.4 多孔質媒体、粒状媒体中の衝撃波

縦型衝撃波管にポリウレタン球を満たし、衝撃波を負荷したときの粒状媒体の様々の挙動を計測しています。図は直径 0.4mmのポリウレタン球が反射衝撃波で舞い上がる様子を時系列的に観測した結果です。

 

   

 
2.5 金属、複合材料への高速衝突誘起衝撃波

高速飛行体が金属および複合材料に衝突するとき、衝突発光を分光計測し、衝突温度を計測しています。高速衝突の動力学ばかりでなく、物理化学過程を計測し、新しい知見を得ています。図は高速飛行体が厚さ 2.2mmのAFRPに斜め衝突した観測結果です。

 

 
2.6 レーザー光誘起水中衝撃波

パルスヤグレーザーなどを光ファイバーで水中に導き、照射すると光ファイバーの先端には気泡が発生し、衝撃波ができます。レーザー誘起衝撃波の特性を明らかにしています。

 


3  高粘度液体中の衝撃波

 

3.1 高粘度液体中の衝撃波計測法の開発

マグマのような高粘度液体中の衝撃波伝播や気泡と衝撃波の干渉はまだよくわかっていません。微小爆発で発生した衝撃波をホログラフィー干渉計法で観測して、従来不可能とされた観測を実施しています。

 

3.2 粘弾性媒体の波動誘起の微細化

マグマの破砕は、火山噴火の爆発性を決定する重要なプロセスです。このメカニズムを明らかにするために、マグマを模擬する粘弾性物質を用いた破砕実験を行っています。発泡した粘弾性体試料を縦型衝撃波管底部の高圧部に設置し、低圧部と測定部を隔てる隔膜を破り急減圧し、試料中を伝播する破砕面の挙動を高速度ビデオを用いて観察しています。
 


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