File.22個性的な泡の動きを可視化する

半導体部品の製造工程においては洗浄が頻繁に行われる。従来は化学薬品を使った洗浄が主流だった。
だが廃液の処理が大変で環境への負担が大きいことが課題となっている。そのため、単純に液体で流したり
固体をぶつけたりといった、物理的な洗浄への移行が進みつつある。その手法の一つが、
落合先生がコンピュータシミュレーションに取り組んでいる「メガソニック洗浄」だ。
仕組みは眼鏡のクリーニングなどに使われる超音波洗浄と同じで、液体に振動を与えることで汚れを落とす。
その際には、キャビテーションという現象も発生する。これは、水中の一点で圧力が急激に下がることにより、
水が水蒸気に変化する現象だ。この水中にできた気泡が消滅するときに、大きな衝撃圧が発生し、
周囲にダメージを与えることがある。だが衝撃圧の強さやタイミングをうまくコントロールできれば、
より効率のよい洗浄を行える可能性がある。
落合先生は、従来の研究より詳細な手法で、メガソニック場中のキャビテーションのふるまいの数値シミュレーションを行った。
水に振動を与えて気泡を2つ発生させた状態で、それらがどのように影響しあうのかを見たところ、
条件によって様々なふるまいが確認できた。例えば2つが同じサイズなら同じタイミングで膨張と収縮を繰り返し、
やがて引き合って合体する。2つの気泡の振動のタイミングが異なると、ある程度までは近づくが途中で止まり、
振動の遅い方は分裂するといった興味深い動きも見られた。
こういった実際の観察が難しい流体のふるまいを鮮やかに可視化できるところが、数値シミュレーションの魅力の一つだそうだ。

落合先生の趣味は野球観戦で、楽天イーグルスのファンだそうです。球場に試合を見に行ったり、 テレビ放送は必ずチェックしたりするそうです。現状としては来期に期待が持てる内容とのこと。 最近お子さんが生まれたばかりとのことで、大きくなったら球場にも連れていきたいとのことです。