Tohoku University Institute of Fluid Science ナノ流動研究部門 分子熱流動研究分野

Ohara Laboratory

Japanese

About Lab.

Overview

当研究室では、液体やソフトマター及びそれらの界面を対象として、その特性を決定する分子運動メカニズムの解明と、これに基づいた熱流体現象・界面現象の「設計」を主な研究課題としています。

ナノ流動研究部門 分子熱流動研究分野の研究テーマ概要
ナノ流動研究部門 分子熱流動研究分野の研究テーマ概要

マクロな媒質が示す粘性・熱伝導率・界面張力などの熱流体物性は、よりミクロなスケールにおけるダイナミクスにより決定されています。これを解析することは、その媒質がなぜその物性値を示すのかを明らかにし、さらに進んで希望の物性値を得るためにはどのように媒質を「設計」すれば良いのかを示唆します。熱流体工学において重要な液体やソフトマターにおいては、分子の古典力学的運動がこれらの特性を決定しており、分子の古典力学的運動を解析する分子動力学法が、極めて有力な道具となります。これを用いて、気体や固体のように明快な理論が存在しない液体において、分子運動が熱・運動量・物質の輸送につながるメカニズムを解明するのが第一の目的です。

一方、半導体製造過程のリソグラフィや生体模倣分子の自己組織化による構造形成、カーボンナノチューブ等の合成など、ナノスケール構造を形成・利用する技術が発達してきました。固体表面上に形成するコーティング膜も最近では厚さ10nm級のものが見られます。このような微細構造においてナノスケールの液体・ソフトマターが示す特性は、バルク液体の特性とは明らかに異なり、これを詳らかにして応用につなげることが求められています。マクロには界面熱抵抗として把握される界面の熱輸送特性など界面における熱流体現象は、マクロな流体力学では本質的に解明できない現象で、そのメカニズムと特性の理解も、分子動力学の解析に委ねられています。また、濡れ性に代表される固体表面と液体との親和性の制御など、界面の特性を劇的に変化させることができる界面修飾も、重要な応用分野です。

分子熱流体工学は、分子動力学等の物理化学的手法を熱流体工学に取り入れることによりマイクロ・ナノスケールの流動ダイナミクスを解明しようとする研究分野で、機械工学において1990年代の初頭からその取り組みが始められました。当研究室は、この分野にその創生期から注力し、熱流体科学において今や重要な一領域となっているナノ熱流体工学で先頭を走るべく、努力を続けています。

流体科学・工学におけるスケールとダイナミクス
流体科学・工学におけるスケールとダイナミクス