ifslogo 極低温流研究分野
大平研究室
Cryogenic Flow Laboratory


研究内容

極低温気液二相流に関する実験的研究

サブクール液体窒素におけるキャビテーションに関する実験的研究

キャビテーションとは、液体中において静圧の低下により液相から気相へ局所的な相変化が起こり、気泡が発生する現象をいいます。キャビテーションは流体機器の性能低下や不安定な振動、壊食などを引き起こす原因となるため、その特性や影響を把握する必要があります。また一方で、沸点以下に温度を低下させたサブクール極低温流体は、ロケット推進剤の高密度化や、高温超電導機器の冷却性能向上などを目的に実用化が進められていますが、キャビテーション特性は十分に解明されていません。
これらの背景から、本研究室ではサブクール極低温流体のキャビテーション挙動の把握と、メカニズムの解明を行っています。


実験装置
実験は極低温流体で比較的扱いの容易な液体窒素を用います。また、実験の際に侵入熱の影響を可能な限り小さくする必要があるため、装置には真空断熱槽、および液体窒素ジャケットと銅製シールドを設けています。中央の可視化部には収縮・拡大管を用いており、流路を狭めて静圧を低下させることでキャビテーションを発生させます。キャビテーションの挙動を高速度カメラで記録すると同時に、各計測点で温度、圧力、流量、圧力振動などのデータを取得しています。

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実験装置概念図




キャビテーション画像
キャビテーションの発生様相は温度を低下させると大きく変化します。大気圧沸点に近い温度では、一旦発生すると気泡はノズルで安定して発生を続けますが「連続的発生」、低温化してサブクール状態にすると、キャビテーションは発生と消滅を繰り返す不安定な「間欠的発生」に変化します。下の動画は間欠的発生時の一例です。
この動画は実時間のスロー再生(1/45)したものですので、実際の気泡発生から消滅までの時間はおよそ0.02秒です。




圧力波
瞬間的なキャビテーションの発生と消滅によって生じる急激な流量変化に伴って、大きな圧力振動が発生します(図2)。
圧力振動の最大値は、流体温度によって異なることが確認されていますが、これはキャビテーションの発生様相との相関が見られます(図3)
圧力振動は機器に損傷をもたらす原因になるため、十分な把握が必要です。


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体積流量と圧力振動の関係

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温度と圧力振動、キャビテーション発生様相の関係



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