5.擬2 次元磁性コロイド分散系におけるガラス転移現象のブラウン動力学シミュレーションによる研究
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A. 研究目標 B. 研究成果

A. 研究目標

(1)ガラス状態とその研究の現状 
 ガラス状態はその成分と空間構造の特徴から、普通の結晶状態とは異なった優れた性質を示す。通常ガラス状態は液体を非常に速い速度で冷却することにより、系を構成する原子、分子、粒子が整列して結晶になる前に不規則なまま凝固させることにより作られる。ただしその冷却速度は非常に速いために、その形状が限られていた。
 しかし近年、数種類の原子等で構成された多成分系なら、遅い冷却速度でもガラス状態が得られることが発見され、それ以降様々な系で理論、実験、シミュレーションの研究がなされてきた。

(2)磁性コロイド分散系におけるガラス転移現象
 ガラス転移を起こす系の1つに「磁性コロイド分散系」が挙げられる。そこで Zahn や Konig らは、図1 のように磁場方向に粒子1つ分の高さを持ち、水に満たされた薄膜状に磁性コロイド粒子を並べた系で、 真上から見た場合に外部磁場に対して、どのような変化を示すかについて実験的な研究を行った[1]。


図1 擬2 次元系での磁性コロイド粒子. 分散媒(水)に満たされ,
粒子1 つ分の高さを持った薄膜状に並べられている.

 図のように粒子の径と磁化率が異なる2 種類の粒子を用いて、外部磁場 H を変化させて実験を行った結果、ガラス転移現象が起きた。その現象の直感的考察として、外部磁場 H により粒子には磁場と同じ方向の磁気モーメントが発生し、結果として粒子同士に斥力が働く。しかし、粒子の磁化率が2種類あるため、同距離同士にある粒子でも斥力が異なり、配列が不規則になったと考えられる。
 そこで本研究ではこの物理現象を「ブラウン動力学法」を用いてシミュレートし、ガラス転移現象を解明することを目標とする。

 

B. 研究成果

出来次第追って報告する。

参考文献
[1]H.Konig , K.Zahn, and G.Maret, Glass transition in a two dimensional system of magnetic colloids, AIP Conference Proceedings , Slow Dynamics in Complex Systems , 708, 40 (2004).



文責:早坂 良 (平成17年度 博士課程前期2年の課程 2年)

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