東北大学流体科学研究所と株式会社ケーヒンは、共同研究部門「先端車輌基盤技術研究
(ケーヒン)」(平成27年4月〜平成30年3月)を共同で推進し、成果を得ることができました。
第二期として、名称を「先端車輌基盤技術研究(ケーヒン)U」とし、車輌の電動化として
期待される基盤技術の研究を平成30年4月1日から共同で開始いたします。
流体科学研究所は、ケーヒンとの共同研究を実施することにより、研究成果の社会実装と、
環境性能に優れた製品による新しい価値創出を目指します。
●電動車輌に向けた熱マネ・熱制御、モータ高効率化に向けた電動化技術の研究
近年、低炭素社会の実現へ向けて、電動車輌の高効率・省電力を実現する熱マネージメントシステムの
ニーズが高く、熱制御及び熱源となる損失の低減が要請されています。熱制御に影響を与える損失には、
正確に評価し、材料ポテンシャルを限界まで使い切ることが困難なものが多く存在します。流体科学研究
所の電磁機能流動熱流体科学に関する知見やスーパーコンピュータ等の活用により、熱制御へ向けた
回転磁場中でのエネルギ損失の解明と特性評価・解析技術を確立し、電動車輌の高効率・省電力への
貢献を目指します。
●電動車輌用高熱流束冷却システム研究
電動車輌のモータ、バッテリー間の電力をコントロールするパワーコントロールユニットには、電力変換素子
が多数内蔵されています。現行の空冷・液冷システムでは熱輸送能力に限界があり、更なるパワーコント
ロールユニット小型化を達成する高熱流束冷却システムを実現する必要があります。流体科学研究所の
伝熱制御工学の知見を活用し、現象の可視化と高熱流束冷却実現に向けた伝熱予測及び伝熱促進技術を
確立し、現行システムの冷却性能を大きく凌駕する高熱流束冷却システムの実現を目指します。
●小型・低負荷空調ユニットの熱流動可視化と高精度予測及び最適化研究
近年、電動車輌の消費電力削減に加え、乗員の快適性向上や車室内空間拡大などのニーズをバランス良く
満たす空調ユニットの小型・低負荷が求められています。しかし、それら要求から、ユニット内流路形状
の複雑化が進み、限られたスペースで冷風と暖風を混合して、適切な温度と風量で吹き出し口へ配風する
ことが難しくなっています。流体科学研究所の熱流体科学の知見と実験的なノウハウにより、空調ユニット
内部の冷風・暖風混合の物理的なメカニズムを解明し、熱流体シミュレーション解析精度の向上を図り、
小型・低負荷空調ユニットの最適化設計技術の構築を目指します。