東北大学

研究成果

1. 再生可能エネルギー由来の水素エネルギーシステム基盤構築

本拠点では、我が国のエネルギー政策の潮流を踏まえた上で、「水素社会実現」へ向けた学術研究を加速するため様々な専門分野の研究者が連携し、新たな「エネルギー価値」を創造する学際研究を推し進めている。具体的には、再生可能エネルギー由来の水素エネルギーシステム基盤を構築するために、エネルギー創生、貯蔵、利用における高エネルギー密度化、高効率化をさらに図るためのエネルギー技術関連研究に取り組んでいる。

本研究では、太陽光発電、地熱発電、風力発電といった再生可能エネルギーにより水素が製造され、水素貯蔵・水素輸送を経て、発電(電力分野)、交通、産業分野へ供給される。本研究はこの一連のサプライチェーンに関わる要素研究を包含している。

個別技術開発と共に、技術の社会受容性に関する研究や、社会における新たな価値の創造を包含して「エネルギー価値」を新たに問いなおす。本研究はシステム全体を俯瞰した研究であるため、部局の枠組みを超えた研究者が参画できるUnder One Roof の受け皿を作り、継続的に機能強化を図っている。

再生可能エネルギー由来の水素エネルギーシステム基盤構築

2. 超臨界地熱エネルギーの開発

2013-2017「エネルギーフロンティアの科学と技術」で、超臨界状態での岩石の力学ならびに水理学的性質の解明を行い、従来型地熱資源の数倍にもおよぶ地殻エネルギーに関わる基礎研究を行った。また平行して、資源量調査、掘削技術開発などが行われ、東北大学の研究グループは中心的役割を果たしてきた。

超臨界地熱エネルギー開発では、

・地質モデル
・地球物理学的探査、地球化学的探査、多成分地殻流体評価
・掘削技術
・貯留層評価技術
・掘削機器ならびにケーシング材料開発(超臨界かつ酸性領域で機能する材料開発)
・探査情報の統合化とAIによる評価技術
・HSE(Health, Safety, Environment)認証技術
・環境アセスメント、環境リスク評価

など、きわめて広範囲の学際的R&Dを必要としている。

2018年からは、NEDOにより、超臨界地熱資源量評価とボーリング地点の絞り込みが行われており、2030年までにパイロットプラントの建設が予定されている。本拠点活動を通じて、2020年ボーリング候補地点の選定と具体的開発計画をゴールに、バックキャストして具体的な開発技術を提示していく必要がある。

超臨界地熱貯留層 地質概念モデル

3. 温泉を利用した水素製造と新しいエネルギー創出

環境科学研究科では、秋田県仙北市との地域連携協定を結び、酸性温泉水を用いて水素製造する研究プロジェクトを進めている。仙北市は、内閣府によるSDGs未来都市に選定され、今後地域資源の活用を行い、水素エネルギーの生産、貯蔵、利用を進めていく計画がある。

東北大学の先端技術を地域に展開するため、本拠点をUnder One Roofとした次の活動を展開していく。

・水素生産技術(工学研究科、環境科学研究科、多元物質科学研究所 ほか)
・水素貯蔵技術(金属材料研究所、工学研究科 ほか)
・水素利用技術(金属材料研究所、環境科学研究科、工学研究科 ほか)
・基礎法令調査

温泉、廃水、ならびに廃アルミニウムを用いた水素製造に関する研究