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文部省 中核的拠点形成プログラム

複雑媒体中の衝撃波現象の解明と学際応用

研究環境

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実験設備
現在衝撃波学際研究拠点にある実験設備の主なものを紹介します。
  • 大型衝撃波管
    衝撃波管は気体中に広い範囲で種々の強さの平面衝撃波を発生する装置で、近代空気力学の試験管にも例えられます。断面100mmx180mmの衝撃波管は、1994年、国際共同研究の実施を目的にトロント大学航空宇宙研究所グラス教授から寄贈され、移設後に隔膜部などに改良を加え、現在強い衝撃波の実験研究に威力を発揮しています。


  • 無隔膜衝撃波管
    この装置は、高圧駆動気体と試験気体をゴム膜やピストンで仕切り、それを瞬間的に取り去って再現性よく衝撃波を発生する高精度の衝撃波管です。この装置とホログラフィー干渉計法を組み合わせた実験で気体中の衝撃波の基礎研究は飛躍的に発展しました。
  • 縦型衝撃波管
  • 収縮する円筒衝撃波に誘起された異種気体界面の不安定現象を、また、収縮する円筒形衝撃波の安定を解明するために、無隔膜方式の縦型衝撃波管を製作し、この装置をホログラフィー干渉計法での計測と組み合わせて、慣性核融合に現れる界面不安定現象の基礎に関するユニークな実験結果を得ています。


  • 二段式軽ガス銃
    この装置は、火薬の燃焼で重いピストンを駆動して水素やヘリウムのような軽ガスを圧縮して、その際発生する高音速の軽ガスで飛行体を毎秒数kmの速度に加速して打ち出します。この実験装置は宇宙船の大気圏再突入の模擬やスペースデブリの衝突模擬、衝撃超高圧の発生などに有効に使われています。


  • 自由ピストン衝撃波風洞
    ピストンで圧縮した高温高圧のヘリウムを衝撃波管の駆動気体として、強い衝撃波を発生し、この衝撃波を衝撃波管端で反射させて高エンタルピーの淀み点状態を作り、ノズルで膨張させて宇宙機の大気圏再突入の速度ばかりでなく粘性効果をも模擬できる極超音速流れを発生します。この装置は航空技術研究所角田宇宙推進技術研究センターの世界最大の高温衝撃風洞のパイロット装置として役立ちました。また極超音速風洞での実験と計測は近代の高速空気力学研究のハイライトの一つです。


    Animation of the nozzle starting process (CFD)


  • ラム加速機
    この装置は管内に封入した可燃混合気中に先端の鋭い形状をした物体を超音速で突入させ、その先端に発生する斜め衝撃波を制御して物体の後端で可燃混合気を燃焼させて高温高圧を発生して推力を得るという新しい概念の推進方式です。ラム加速機には相似則が成り立つので、小規模実験の結果を拡張して大きな物体を比較的経済的に秒速3kmを超える速度にまで加速できます.。また、レーザーのエネルギーを用いたラム加速機の試作研究が進められています。


  • イクスパンション管

  • 衝撃波管を多段に組み合わせ非定常膨張を利用して、非常に高速の流れを誘起することができます。この装置は多段隔膜の衝撃波管と同じ比較的単純な構造を持っています。イクスパンション管で空気を加速して超軌道からの宇宙船の大気圏再突入であらわれる高速を比較的容易に発生できます。小惑星サンプルリターン計画に現れる秒速12km/sの流れを非常に短時間ですが模擬できます。この装置を用いて、他の方法ではできない臨界電離速度の計測など、新しい応用も模索されています。


  • 二段式軽ガス銃・弾道飛行実験装置

Two-gas Gun



平成13年度に設備した日本で最高の性能を持つ二段式軽ガス銃・弾道飛行実験装置です。

  • 微小爆発水槽
    この装置で液体中においた数マイクログラムから数ミリグラムのアジ化銀ペレットにパルスレーザー光を照射すると、ほとんど遅れ時間なしに起爆します。微小爆薬をエネルギー源によく制御された球状衝撃波を発生する技術開発は、水中球状衝撃波の研究を飛躍的に発展させました。現在、水中衝撃波の研究は気泡力学の基礎ばかりでなくて水中衝撃波フォーカッシングの医療の研究に応用されています。また、水中爆発で発生する衝撃波は再現性が良いので、圧力計などの校正に役立ちます。将来,超臨界状態の発生など非定常の液体物性研究の糸口を与えます。
  • その他の装置
  • ここに示した装置の他に、縦型、水平型の各種衝撃波管があり、マッハ数1.005から20.0までの衝撃波を良い再現性で発生できます。また、縦型、水平型の小型ガス銃や二段式軽ガス銃があり、高速衝突あるいは弾道飛行実験またその組み合わせ実験に供されています。また、高速撮影装置、VISAR速度干渉計、高速分光装置など、これらの装置での実験を支援する計測装置が整備されています。

  • ホログラフィー干渉計
  • 衝撃波研究センターの光学可視化計測の主力は二重露光ホログラフィー干渉計です。パルス・ルビーレーザー光の可干渉性を利用して衝撃波管実験ばかりでなくて液体や透明な固体中の衝撃波現象、界面の高速変形などの計測が行われています。取得された画像情報はスーパーコンピューターと組み合わされて高速処理され、精密な短時間流体計測を可能にしています。また、散乱光を物体光とするホログラフィー法は、三次元衝撃波現象の可視化に特段の威力を発揮しています。

  • 光学可視化法
  • 衝撃波研究センターでの計測には、ホログラフィー干渉計法を補助するために、影写真法、カラーシュリーレン法が利用され、特に、有限干渉縞を高速画像処理する方法、位相変位干渉法を用いて非常に弱い衝撃波や非常に低密度場での衝撃波をより精緻に可視化計測する方法が活用されています。また、強拡大視野での衝撃波など高速現象の可視化法の開発が行われています。


    ホログラフィー干渉計写真
    翼型まわりのマッハ数0.7の流れ

    複雑な衝撃波の干渉、マッハ数5.5
    カラーシュリーレン写真
  • 斜め打ち出し二段式軽ガス銃 (2001年5月)


  • 0度

    30度

    60度

    90度


    13年度導入された設備備品


    • 衝撃波分光測定システム吸光分光用可視光源

    強い衝撃波背後の発光現象を分光計測し、衝撃波の物理化学計測に用います。


    • クランツ・シャルデン・カメラ
    • Camera

      比較的遅い衝撃波現象を高い空間解像度でコマ撮り撮影します。


    • 二段軽ガス銃・弾道実験装置
    • Computers

      AutoDyn3Dを収納し、衝撃波の作用で大変形する物体の数値模擬が可能です。


    • 複雑媒体衝撃波シミュレーター
    • Gun

      飛行体を出口速度8km/sで打ち出し、自由飛行と高速衝突を大視野のホログラフィー干渉計法で計測する装置です。我が国では最大の規模と性能を有しています。


    • チャンネルパルスX線源
    • channel

      二段式軽ガス銃の飛行体の検出に使います。


    • 衝撃波研究用CR
    • CR

      エックス線で検出した画像を解析・編集します。


    • 衝撃波発生装置
    • High Speed Rotor

      直径140mmの円筒を毎分60,000回転させ、円筒表面に現れる衝撃波現象を解明します。


    • 直径500mm平面鏡
    • 平成12年度に導入した直径1mのシュリーレン鏡の補助平面鏡として使います。

    計算環境

    衝撃波研究センターでは、数値シミュレーションは実験的、解析的研究と同じ重さで重要とされています。一般に、衝撃波現象は複雑なので、全ての衝撃波現象に有効な数値解法はありません。したがって スーパーコンピュータ の利用を背景に、研究の目的に最適な様々の方式の数値解法が作られ、また、数値シミュレーションの結果を最も効果的に表示する方法が開発されています。実験には模擬できる規模や計測精度の制約があり、数値シミュレーションには数学モデル記述できる複雑さの限界があります。したがって、衝撃波研究センターでは、実験と数値シミュレーションとの定量的な比較に始まって、両者の結果を補完させた衝撃波研究を推進しています。センターには、すでに非構造格子を用いる有限体積法コードVAS2D, VAS3Dが開発され、時系列的な実験の干渉計写真をコンピューターを援用して動画表示する技術が確立され、 スーパーコンピューター を駆使した干渉縞解析法の開発が完了しています。今までに、火山噴火や大規模爆発災害の模擬、スーパーコンピュテーションを駆使する数値シミュレーションで被害を予測するなどの研究が行われました。

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