イオン液体を活用した先進エネルギー・環境応用
  イオン液体は液体でありながら,陽イオンと陰イオンのみで構成される液体で,「水」,「油」に続く第3の液体と呼ばれています。また,融点が低く,常温で「塩」として存在することから「常温溶融塩」とも呼ばれています。イオン液体は,蒸気圧が極めて低いことや高い電気伝導性を有していることなどから,電解質や反応溶媒,アクチュエータとして応用されてきました。本研究室では,イオン液体の新たな応用として,電気二重層現象を活用した電気二重層現象を活用した電気二重層キャパシタや宇宙推進機などの先進エネルギーデバイスの開発やイオン液体静電噴霧による二酸化炭素分離吸収の高度化に関して数値シミュレーションと実験の両面から目指しています。
日本機械学会誌,2015年11月号,Vol. 118, No. 1164, p. 696 (2015),
「イオン液体が拓く革新的エネルギーデバイスの未来」
日本機械学会流体工学部門ニューズレター 流れ,2015年12月号,
「プラズマおよびイオン液体のエネルギー技術への応用展開」
東北大学流体科学研究所 研究者リレーインタビュー,
「宇宙機の燃料になるイオン液体とは?」
ナノ繊維静電配向制御による革新的セルロース新素材創製プロセス
  近年,木材繊維を化学的・機械的にナノサイズまで解きほぐしたセルロースナノファイバー(CNF)というバイオマス素材が世界的に注目を集めています。CNFは30-40本のセルルース分子が水素結合によって束になった幅約3 nm,長さ2-3 μmの高結晶性の超微細繊維であり,軽量および高強度,低熱膨張性などの優れた物理的特性を有しています。本研究室では,CNFから成る高強度セルロース単繊維の創製を目指していますが,このようなセルロース本来の優れた特性を有するセルロース単繊維を得るためには,セルロース単繊維を構成するCNFの繊維配向を制御し,一方向に揃えることが不可欠であることが明らかとなっています。本研究では,CNFの配向を制御する方法として,交流電場を利用したCNF静電流動配向法を新規に提案し,その基礎特性を光学計測により解明しています。
日本機械学会流体工学部門ニューズレター 流れ,2017年2月号,
「静電配向制御によるセルロース新素材創製プロセス」
日本機械学会流体工学部門ニューズレター 流れ,2022年2月号,
「セルロース分散流中のナノ繊維静電配向に関する数値シミュレーション」
自然エネルギー高度利用を目指した電磁制御装置の開発と高性能化
  本研究では,余剰風力からのエネルギー回収による風力エネルギーのさらなる高度利用を目指し,電磁相互作用により液体金属中に生じるローレンツ力を活用した軸回転トルク制御機構を新規に開発し,その性能特性を評価しています。本装置を風車軸に直結することにより,余剰風力エネルギーを電気エネルギーに変換しつつ,軸回転数もしくは軸トルクを一定に保つことが可能となります。
日本機械学会流体工学部門ニューズレター 流れ,2014年1月号,
「風力エネルギー高度利用のための同軸型電磁エネルギー変換装置の開発と性能評価」
ナノ秒パルス放電による着火促進
  ナノ秒パルス放電などにより生成される非平衡プラズマは,プラズマ中における高エネルギー電子の衝突によりラジカルなどの反応性化学種を低温で高効率に生成することができることから,燃焼促進や排ガス浄化など幅広く用いられています。本研究室では,特にプラズマ燃焼促進のための基礎研究として,高温・高圧下における空気-メタン混合プラズマ流に関して反応流動モデリングを構築し,数値シミュレーションによりナノ時間スケールでの活性種生成特性やストリーマ進展過程を明らかにするとともに活性種の寿命評価を行っています。さらに,小エネルギーの高速注入による局時・局所流動制御などの新たな応用に関する研究も行っております。
日本機械学会流体工学部門ニューズレター 流れ,2015年12月号,
「プラズマおよびイオン液体のエネルギー技術への応用展開」