カーボンニュートラルに資するアンモニア燃焼基盤研究
ガスタービンや工業炉への展開を目指したアンモニア燃焼研究
高速反応流研究分野

カーボンニュートラルを実現するために,アンモニアは水素エネルギーキャリアのみならずガスタービンや工業炉などの燃焼器における燃料として利用する事が期待されています.アンモニアは燃焼時に二酸化炭素を発生しませんが,従来の炭化水素燃料とは燃焼速度や火炎温度などが大きく異なります.またアンモニア自体が劇物に指定されている事や,燃焼時に窒素酸化物(NOx)を発生させる可能性があります.このような特徴から,アンモニアを燃料として利用するためには,アンモニアの基礎的燃焼特性を明らかにする必要があります.さらに,未燃アンモニアや窒素酸化物の排出量を規制値内に抑制する燃焼方法の開発が求められます.

当研究分野では,球状に伝播する予混合火炎を用いた層流燃焼速度計測および平面よどみ火炎を用いたアンモニア火炎からの燃焼生成ガス計測などを行い,アンモニアの基礎的燃焼特性を実験的に明らかにしています.得られた結果は,アンモニア燃焼の詳細反応機構の検証などに用いられています.

さらにアンモニアを燃料として利用するガスタービンや工業炉への利用を目指して,高温高圧環境下におけるアンモニアの乱流予混合燃焼に関する研究,旋回流燃焼器における燃焼特性,液体アンモニア噴霧燃焼に関する研究およびアンモニア噴流燃焼に関する研究にも取り組んでいます.

また当研究分野では,国内の研究機関や企業,国内外の大学(九州大学,産業技術総合研究所,INSA-Lyon(フランス),オルレアン大学(フランス),KAUST(サウジアラビア),カーディフ大学(英国),ケンブリッジ大学(英国),NUS(シンガポール),NTU(シンガポール)等)と連携して,アンモニア燃焼研究を強力に推進しています.

球状に伝播するアンモニア/空気層流予混合火炎

アンモニア/空気乱流予混合火炎アンモニア/空気乱流予混合火炎