ナノ炭素系材料の活用による高熱伝導TIMの研究市野 良一

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市野 良一( 名古屋大学 )  メンバーページ

研究目的

  • 高熱伝導かつ導電性のある熱拡散複合電極材の開発と、電極材との接合信頼性を担保した低熱抵抗接合材・接合技術の開発を目的とする。
  • 固体表面接合界面の熱抵抗低減の方法として、(1)固体表面に電解めっきや無電解めっきにより平滑性の高い光沢のある金属を析出させ、固体同士が直接接触しやすい表面への改質としての有効性について明らかにする。
  • 炭素系ナノ材料と金属との複合めっきにより固体表面を改質し、伝熱パスとしての炭素系ナノ材料の有効性について明らかにする。


平滑性の高い光沢皮膜は固体同士の接合界面積が増加が期待できる。添加剤の皮膜中への取込みによりめっき皮膜自体の硬さが増加、熱伝導率が低下(添加剤フリーが重要)


炭素系ナノ粒子の表面修飾とめっき皮膜構造。分散材の皮膜中への取込みにより、熱伝導率が低下する。(分散剤フリーが重要)


接合材としての炭素系ナノ材料による熱伝導パスの強化

全体計画の中での意義

  • 固体への平滑表面、比較的硬度の低いめっき皮膜創製による、加圧圧着時における固体表面接合界面積の増加と熱抵抗の低減の検証
  • 複合めっき皮膜中の炭素系ナノ材料の伝熱パスとしての有効性の検証
  • 伝熱パスとして有効な表面官能基を有する炭素系材料の有効性の検証

研究計画と方法

  • 固体表面に金属めっき・炭素系ナノ材料と金属との複合めっきを施し、固体表面の改質を行い、熱伝導特性への寄与を評価する。
  • (1・2年目) 固体上への平滑金属めっきの条件策定と最適化
  • (3・4年目) 炭素系ナノ粒子表面への分散性に有効な官能基と伝熱パスとして有効な官能基の付与技術と複合めっきの条件 策定と最適化
  • (4年目以降) 光沢性、炭素系ナノ材料の複合めっきの複合機能化よる熱抵抗低減技術開発

目標

  • 3年後に熱伝導率500(W/m·K)以上、最終的に700(W/m·K)以上。また、はんだ代替の複合めっき部で熱抵抗1.0x10-6 (m2K/W)以下(おおむね現用はんだの1/2)の実用上有用なTIM材の技術の確立を目指す。