接触界面熱抵抗低減剤による熱抵抗値計測とTIMの表面改質
森 邦夫
グループリーダー
森 邦夫(株式会社いおう化学研究所) メンバーページ
研究目的
- ポリマーシートなど既存の熱界面材料(TIM)の界面で発生する熱伝達ノイズ(界面粗さや濡れ等の影響)を低減する化合物群(TTNC)を探索する。
- 接触面圧・面粗度に依存せず、機械的な強度も有する設計が可能な化合物群として、TTNCを化学的に設計する。
- 既に実用技術となっている分子接合を念頭に、応力伝達と熱伝達の関連性を界面結合性の視点から解明する。
- TIMに対するTTNCの有効性を検証する。
界面熱特性測定装置。(左)全体、(右)計測部。界面粗度を2~600 nmに調整し、
TIMやTTNCを挟んで熱流束を与える。測定試料(TIM)厚さゼロの外挿点が界面熱抵抗を与える。
固体表面の分子接合モデル。物理的接触と化学的接触が存在し、熱移動場を形成する。
全体計画の中での意義
- 実験的視点によるナノスケール熱管理基盤技術の構築に必要不可欠なTTNCの性能向上を達成する。
- 界面熱抵抗低減技術に接触界面制御科学の成果を反映させる。
- 実用技術として確立されている分子接合を応用して強力な熱的接合を実現する。
- 界面分子修飾が実在面レベルで発現する総括的効果を理論研究グループに提供する。
研究計画と方法
- (1) TTNCの性能向上(接触面圧及び接触面粗度に対する非依存性実現)をもたらすTTNCの種類や使用条件を見出す。
- (2) 熱抵抗値に及ぼす接触界面における接触状態の影響を解明する。
- (3) 応力伝達と熱移動の関係解明:化学結合、格子振動・分子間力・摩擦、分子鎖の脱吸着等の影響を検討する。
- (4) 分子鎖の伝熱挙動を解明する
目標
- (3年間)
(1)界面熱抵抗値の測定精度として10−6 m2K/Wレベルを目指し、このレベルでTTNCの機能性や接触面圧非依存性を検討する。
(2) 低面圧で10−5 m2K/Wオーダーの界面熱抵抗を達成する。 - (5.5年間)
(1) 測定精度をさらに向上させ、TTNCの機能性や接触面圧・接触面粗度非依存性を検討する。
(2) 主分子鎖の接触形態を解明する。