界面熱抵抗計測技術の開発と固液界面における熱的接合の解明 八木 貴志

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八木 貴志( 産業技術総合研究所 )  メンバーページ

研究目的

  • 時間分解サーモリフレクタンスと超高速周期加熱を複合した革新的な界面熱抵抗計測技術を開発し、固体や分子層と液体との界面における熱抵抗量の定量的かつ精密な計測を実現する。
  • 計算グループとのデータ検証や、実証・実用化グループによるマクロ特性との関係を議論することで界面熱抵抗の低減策に寄与するとともに、固液界面において熱輸送がフォノン熱輸送(固体内)から分子熱輸送(液体内)へと転換する場の熱的接合の原理解明に挑む。


時間分解サーモリフレクタンスと超高速周期加熱を複合した界面熱抵抗計測技術のイメージ。固液界面でのフォノン熱輸送と分子熱輸送の熱的接合原理に迫る。


Pt/超純水界面の従来型TDTRによる測定例。Pt表面の1-オクタンチオール分子層の有無により界面熱抵抗が変化するが、この要因は未解明である。

全体計画の中での意義

  • 固液界面は、熱伝導様式がフォノン(固体)から分子(液体)へと転換する特異点である。本テーマは、固液間の界面熱抵抗の発生・制御に係わる学理を追求し、熱伝導制御のブレークスルー発見を目指す。
  • ナノオーダの分子修飾層を用いた固液界面熱抵抗の定量的なデータを網羅的に測定・評価。
  • 分子熱伝導を基にした新しいTIMの熱的特性設計手法の実現に貢献。

研究計画と方法

  • 各種分子修飾層を固体表面に形成し、固液界面熱抵抗の評価を網羅的に進める。分子熱伝導の計算予測と共同し、固液界面熱抵抗制御の学理を追及する。
  • (1年目) 界面熱抵抗測定装置の開発に着手
  • (2年目)測定装置を稼働し、界面熱抵抗評価と理論計算を基にした検証を進める。
  • (3年目)分子修飾層の界面熱抵抗に関する官能基依存性、疎水・撥水性依存性、炭素鎖長依存性について基礎的な理解を得る。
  • (4年目以降) フォノン熱伝導から分子熱伝導への転換点における熱抵抗発生のメカニズムを明らかにする。

目標

  • (3年間) 典型的な固体-液体/SM界面について、界面熱抵抗値の実測データセットを確立。
  • (5.5年間) フォノン熱伝導と分子熱伝導の接続という観点から固液界面の熱伝導メカニズムを明らかにし、固液界面熱抵抗の極限的な低減を目指した材料実現に寄与する。