固気液三相界面の熱抵抗分布の精密計測に基づく熱抵抗メカニズムの理解 長野 方星

グループリーダー

長野 方星( 名古屋大学 )  メンバーページ

研究目的

  • 提案する低熱抵抗界面に対し実在面スケール(30mm角程度)で熱抵抗およびその面内分布を明らかにするため,マイクロスケール赤外・可視計測が可能な観察システムを新たに構築する。
  • 構築した計測システムを用いて動的な伝熱過程を詳細に計測・解析し,界面熱抵抗局所分布を明らかにする。また,基盤面のスプレッダ効果ならびに接触面における固気液三相界面の状態と熱抵抗の関係を明らかにする。
  • 界面伝熱機構のモデル化を行い,固-液間,気-液間の熱コンダクタンスなど,各界面での熱コンダクタンスの寄与を定量的に明らかにし,さらなる熱抵抗低減に向けた指針を提案する。


可視・赤外三相界面計測システム。可視計測から固気液分布情報を,赤外計測から温度分布を詳細に計測し,各界面での熱抵抗を詳細に評価し,総括熱抵抗を構成する各因子を明らかにする。


炭素繊維-樹脂間の熱抵抗計測例。1.5mm角領域内で線径7µmの繊維と樹脂との界面熱抵抗の分布を計測。本結果は面内方向の熱抵抗分布であるが,本申請では30mm角程度の実在面に対して,厚さ方向の熱抵抗の面内分布評価手法の確立を目指す。

全体計画の中での意義

  • 実在面スケールでの熱抵抗の精密計測,分布の把握,およびモデル化は熱抵抗の各要因を明らかにする上で不可欠である。
  • 界面での伝熱機構は固・気・液の各界面での伝熱が密接に関係しており,熱抵抗低減のためにはこれらを分離した評価および制御が不可欠である。
  • 固気液三相界面の熱抵抗計測技術とモデル化手法を用いることで,複合的な伝熱機構の分離が可能となる。

研究計画と方法

  • (1年目) 界面熱抵抗面内分布測定原理および接触面における固気液三相界面観察手法の検討。
  • (2年目) 装置製作,種々の界面の熱抵抗ならびに固気液界面の観察。基盤面内スプレッダ効果の分離検証。
  • (3年目) 物理モデルの構築および局所的な伝熱機構の分離。
  • (4年目以降) 提案される最適界面の熱抵抗分布およびモデル検証。最適界面を実在面スケールで実現するための指針の提案。

目標

  • (3年間)熱抵抗分布計測装置,評価手法の確立ならびにモデル化を行う。
  • (5.5年間) 提案された界面に対し熱抵抗分布を詳細に明らかにし,界面設計にフィードバックを図り,最終的に実在面スケールでの最適界面を提案する。