Students' Voice

現在、人体の骨に近い切削特性を持つ生体材料の開発研究をしています。
例えば、骨折治療において、骨折部を金属製のプレートやネジを使って固定する際にドリルで穴を開けるのですが、骨は年齢、性別などによる個体差があり、穴の開け方は医師の経験と勘に頼ることになります。切削時の挙動は骨の硬さ、密度、水分量、弾力の個体差により異なるので、練習用の模擬骨を開発することで医師が手技の精度を高めていくことができます。
私はこの材料の開発に取り組んでいるのですが、骨の切削に要する力を調べるために、Ecole Centrale de Lyon (ECL)に滞在し、ドリルの試験機を使って実験を行いました。ドリルを使用した際の模擬骨の切削特性がわかったことで、さらに本当の骨に近づけることができるようになりました。
この滞在はリヨンセンターの支援制度のほか、大学のタブルディグリー制度を利用したものでしたので、生活や手続きに関することなどたくさんの人が助けてくれました。
センターがあることによって、いつでもサポートしてくれる人がいることはとても心強かったです。
リヨンは晴れ間が多く、夏は暑いですが、湿度が低いため快適に過ごすことができます。日曜日にはマルシェが開催されるので、よく野菜や果物を買いに行きました。
フランスでの研究生活は日本とは異なり、お互いが積極的に質問をしあい、理解を高めていくというもので、とても新鮮でした。また、皆が午前9時から午後5時の決まった時間の中で研究を行い、時間内で効率よく進めていく集中力や計画性は自分自身の研究のやり方を見つめ直すきっかけになりました。
将来はこの経験をもとに、研究者として成長し続けたいと思っています。