高専から流体研へ 〜流体研で研究に取り組む教職員の声〜

理想の実験を支えるため、毎日あらたな挑戦

■高専での実習の楽しさから技術職に

  • 私は流体科学研究所の技術室で実験装置の設計や製作を行っています。子供のころから専門性を持った仕事に就きたいと考えていました。中学生の時にテレビで技能五輪を見たのですが、選手の加工する姿が格好良く、工業高専に進みました。その後大学に編入して卒業したあと、電力会社に就職しました。原子力発電所の運転業務に従事していたのですが、運転管理は決められた手順で進めることが重要です。試行錯誤しながら物事を進めていく自分の性格には合わないと思ったこと、また高専での実習が楽しかったことから、技術的な仕事につきたいと考えて流体科学研究所の技術職員になりました。

■毎日ことなる加工にやりがい

流体研ではマシニングセンタや旋盤を駆使しながら、先生や学生から依頼される実験装置を、さまざまな素材で製作しています。時には加工が難しい形状などもあり、依頼者の設計意図をくみ取りながら代替案を提案するなどのアドバイスも行います。加工できる機械がない場合は、学内の別の技術室などとも連携しながら依頼に応えます。
大学の技術室での仕事は、高専の卒業生に向いているなと感じます。ここでは高専で学んだことがそのまま通用することが多く、そこに新たな技術や知識を積み上げていくことになります。高専で学んだ人であれば、新しい加工技術にもすぐ対応できるでしょう。大学の技術室ならではのおもしろいところは、毎日どんな依頼が来るかわからないところです。だから飽きることはないですね。

■世界最先端の研究を研究者とともに担う

流体研なだけに風洞実験用などのさまざまな翼の製作も多く、時には1mを超えるサイズでの依頼もあります。時間と手間がかかりますが、分割方法や加工手順、加工用治具の製作など工夫する点も多くあり、とてもやりがいがあります。また流体研は職員同士の関係がよく和やかで仕事をしやすいです。
仕事を進める上では、先生や学生が思いついた通りの実験ができるような装置の製作を心がけています。加工上難しかったとしても、理想に少しでも近づけられるような提案をしたいですね。先生たちにとって理想の研究ができることが、自分にとって一番大切です。

【Profile】
東北大学流体科学研究所
技術室 技術専門職員
涌井 佳祐
2005年に福島工業高等専門学校を卒業。東京農工大学工学部機械システム工学科に編入学し、2007年に卒業。同年に東北電力に就職し、女川原子力発電所に勤務。2010年4月より東北大学流体科学研究所の技術室に勤務。