研究所の使命と目標

使命

流体科学の基礎研究と、それを基盤とした先端学術領域との融合、ならびに重点科学技術分野への応用において世界最高水準の研究を推進して、新しい学理を構築、社会が直面する諸問題を解決するとともに、世界で活躍 する若手研究者・技術者を育成することを使命とします。
  • 1. 世界最高水準の研究を推進
    • (1) 流体科学の基礎研究
    • (2) 流体科学の基礎研究を基盤とした先端学術領域との融合
    • (3) 重点科学技術分野への応用
  • 2. 新しい学理を構築
  • 3. 社会が直面する諸問題を解決
  • 4. 世界で活躍する若手研究者・技術者を育成

 
目標
 


「世界の研究者が集う流体科学分野の世界拠点の形成」

「流体科学」は多様な物理現象の基盤であり、人類社会の持続的発展や我が国が抱える課題を解決するためには不可欠な学問である。流体科学研究所は、1943年に高速力学研究所として設立され、世界の流体機械研究を先導してきた。1989年に現名称に改め、流体に関わる学理や応用を進め広範な流動現象の学際的研究を展開し、我が国唯一の流体科学の研究拠点として、新しい学理の構築や社会が直面する諸問題の解決、世界で活躍する若手研究者・技術者の育成を担ってきた。

2030年の社会環境は、国内においては人口減少・超高齢化・労働力不足、世界においては人口爆発、気候変動、環境汚染、水・食料の不足、公衆衛生などの問題が顕在化することが予測されている。この世界的な動向に対して、2015年の国連サミットでは社会が取り組むべき課題としてSDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)が採択された。特に気候変動問題では、2050年までにカーボンニュートラルな国際社会を目指す上で、2030年は2050年までのマイルストーンにおいて重要な年と位置づけられ、脱炭素社会の実現のために国内では2020年にグリーン成長戦略が策定されている。また、2020年の新型コロナウィルスCOVID-19の世界的感染拡大により、公衆衛生の重要性や課題も浮き彫りになっている。内閣府により提唱されているSociety 5.0を推進する新しい科学技術により、未来に向かって豊かな社会を継続的に発展させることも期待されている。国立大学附置研究所は、挑戦性、総合性、融合性、国際性を高め社会の変化に柔軟に対応し、これらの諸問題を解決することが強く求められている。そのためには、新たな目標に対してより多様性のある世界の知を結集し、研究者が互いに刺激を受けて研究の深化と創造を行う環境を醸成する必要がある。

そこで本研究所は、これまで蓄積してきた研究や技術、国際ネットワークを礎とし、上述の社会的課題の解決に向けて世界の研究者が集う流体科学分野の世界拠点の形成を2030年までに実現するために、VISION 2030を制定する。そして、流体科学における学術基盤や熱流体計測・解析技術の継承・発展により、安全・安心・健康な社会の実現、快適で豊かな社会の実現を目指す。そのために、統合流動科学を創成し、環境・エネルギー、ナノ・マイクロ、健康・福祉・医療、宇宙航空、に関わるイノベーションの創成と諸問題の解決を目指す。具体的には、グリーン成長戦略に則った燃料アンモニア、地熱利用、水素エネルギー利用、地球にやさしい半導体プロセス、高容量蓄電池、航空機の電動化などに関わる基盤技術、医療や創薬を担うバイオテクノロジー、デジタルトランスフォーメーションを加速するAI、機械学習、量子コンピュータなど新しい科学技術の発展に寄与し、脱炭素、防災・減災、健康・予防医療、宇宙利用など、豊かな未来の社会基盤の構築に貢献する。同時に、その時々の緊急性の高い社会課題の解決にも取り組む。

この実現に向けて、①流体科学研究の学術基盤を強化しつつ、異分野融合による新分野の共創や学理構築を進める、②分野横断型の研究グループとして「環境・エネルギー」「ナノ・マイクロ」「健康・福祉・医療」「宇宙航空」の4クラスター、および「社会課題解決タスクフォース」の1チームを組織し、重点研究テーマに対して組織的に取り組むことによって、社会・産業界全体への研究貢献する、③国内外の研究者・学生にとって魅力的な研究教育体制や研究環境を整え、国内外の研究機関・産業界で活躍できる高度専門人財を育成する。④産業界を交えた国際ネットワークを構築し、国内外に向けて積極的に研究成果を発信することにより、国際共同研究拠点化を強力に推進する。

令和3年9月

VISION 2030改定の背景
 
流体科学研究所では、ビジョン「VISION 2030」を2015年4月に制定した。制定後、SDGs(2015年9月の国連サミットで採択)、Society 5.0(2016年、第5期科学技術基本計画で提唱)、カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(2020年12月策定)のように世界や日本社会が目指す方向や、期待される科学技術の要請が新たに示された。また、COVID-19の世界的蔓延により、緊急社会課題解決に対する研究体制の整備も必要になった。これらの状況を踏まえ、VISION 2030の改定を行うこととした。

歴史

流体科学研究所は、1943年に高速力学研究所として発足以来、本学の「研究第一主義」と「実学尊重」の伝統を掲げ、流れに関わる学理の構築とその応用に関する研究を一貫して行なっています。

高速力学研究所

1943.10.5
東北帝国大学に高速力学研究所として発足
1969.3.25
1号館竣工
1979.4.1
気流計測研究施設を新設
低乱熱伝達風洞施設を設置
1988.4.8
気流計測研究施設を廃止し、衝撃波工学研究センターを新設

流体科学研究所

1989.5.29
流体科学研究所への改組転換
1990.11.13
スーパーコンピュータセンタ竣工
1994.11.13
2号館竣工
1998.4.9
「流体科学研究所」の改組により4 部門(16 分野)、1研究センターが発足
「附属衝撃波工学研究センター」の廃止と「衝撃波研究センター」の発足
1999.9.3
スーパーコンピュータの効率的運用のため、「未来流体情報創造センター」を発足
2000.4.1
中核的研究拠点(COE) 形成プログラム「衝撃波学際研究拠点」を設置
2003.4.1
「衝撃波研究センター」の改組により、流体融合研究センターを発足
2003.9.1
21世紀COE プログラム「流動ダイナミクス国際研究教育拠点」を設置
2008.7.1
グローバルCOE プログラム「流動ダイナミクス知の融合教育研究世界拠点」を設置
2010.4.1
共同利用・共同研究拠点「流体科学研究拠点」開始
2013.4.1
「流体科学研究所」の改組により3 部門、1 研究センター(未到エネルギー研究センター)の27 分野が発足
2015.4.1
共同研究部門「先端車輌基盤技術研究(ケーヒン)」を新設
2017.4.1
国内の航空機産業振興を目的として「航空機計算科学センター」を発足
2018.4.1
リヨン大学との連携研究を目的として「リヨンセンター ―材料・流体科学融合拠点―」を発足

褒章・受章

教員が在籍時に受賞した主な褒章。受章(平成21年以降)について掲載した。

紫綬褒章

氏名 受章内容 受賞年月日
圓山 重直 ふく射伝熱の研究などの熱工学の分野を深化させただけでなく、異分野との融合により新たな研究を展開し、熱工学の新しい研究パラダイムを築く優れた業績を挙げた。 H24.4.29

文部科学大臣表彰・科学技術賞

氏名 受章内容 受賞年月日
寒川 誠二 半導体デバイス特性の劣化を防ぐ超高精度加工技術の研究 H21.4.14
高木 敏行 電磁現象を用いた定量的非破壊検査法の高度化研究 H23.4.20
大林 茂 多目的設計探査とその応用に関する研究 H26.4.15
丸田 薫 マイクロ燃焼の科学と熱技術および燃焼反応動力学の研究 H27.4.15
早瀬 敏幸 流体計測と数値流体解析の融合手法とその応用に関する研究 H28.4.20
小林 秀昭 極限環境条件における燃焼現象解明の研究 H29.4.20
太田 信 生体組織モデル開発と医療機器の評価への応用に関する研究 H31.4.17

文部科学大臣表彰・若手科学者賞

氏名 受章内容 受賞年月日
内一 哲哉 電磁非破壊評価法に基づく鋳鉄材質評価の研究 H22.4.27
小宮 敦樹 複雑環境におけるタンパク質物資輸送高精度計測の研究 H24.4.20
高奈 秀匡 電場制御による微粒子流動加工の高性能化 H25.4.16
中村 寿 火炎クロマトグラフ法による燃焼反応機構の研究 H28.4.20
菊川 豪太 有機分子修飾膜の分子構造に基づく界面熱輸送制御の研究 H30.4.17
船本 健一 流体情報学に基づく生体恒常性維持機構の解明に関する研究 H31.4.17
椋平 祐輔 地下開発時の誘発地震の発生機構解明と抑制技術に関する研究 R2. 4. 7
岡島 淳之介 微細管内の相変化熱流体現象による冷却機構とその応用の研究 R3. 4. 6
阿部 圭晃 圧縮性流体の離散保存性を満たす高精度解析手法の研究 R4. 4. 8

文部科学大臣表彰・研究支援賞

氏名 受章内容 受賞年月日
奥泉 寛之 磁力支持天秤装置による風洞実験高度化と施設共用化への貢献 R4. 4. 8