高専から流体研へ 〜流体研で研究に取り組む学生の声〜

思い立ったら海外へ、半導体プロセスシミュレーションで社会に貢献する

      • ※所属はインタビューを実施した2022年2月時点のものです。

    ■学会で海外を飛び回る先輩に憧れ

    • 現在、博士課程で半導体の成膜プロセスのシミュレーションに取り組んでいます。高専の本科所属時から、大学院進学を考えていました。専攻科へ進学する際に、当時の指導教員に大学院進学について相談したところ、現在所属する研究室を紹介していただきました。研究室は国際交流が盛んで、高専出身の先輩も所属していました。先輩が国際学会で発表するために国内外を飛び回る姿を見て、ここなら自分が成長できると感じて進学を決めました。

    ■思い立ったら新しい環境にすぐ飛び込む

    研究室に入ってからは様々な国で学会発表を行い、博士課程2年の時にはアメリカへの留学も経験しました。私が取り組むシミュレーションでは、原子や分子1つ1つの動きを扱います。また半導体成膜プロセスには化学反応も含まれることから、化学反応も考慮して計算しなければなりません。化学反応を扱う手法は比較的新しく、プログラムを開発したアメリカの大学の教授とメールのやり取りをくり返しました。そのうちぜひ会って話を聞きたいと思うようになり、教授に直接、留学を打診しました。プログラムを開発された本人の元で学ぶことにより、どういう問題意識のもとに開発されたのかなど、プログラムの本質的な部分が見えてきたと感じます。

    ■大学院で多様な経験を積もう

    • 現在の目標は博士号を取得することですが、その先もアカデミックな方面に進みたいと考えています。将来は半導体のプロセス全体のシミュレーションを実現し、新たなプロセスなどを提案できるようになりたいですね。膨大な数の原子や分子を扱うシミュレーションでは大量の計算資源が必要です。一方で半導体のスケールは年々微細化しており、最先端の製品では配線幅が数ナノメートル、原子の数でいえば数十個のレベルに到達しています。コンピュータの進化と半導体の微細化が合わさることで、近いうちに半導体の全製造プロセスをシミュレーションできる日が来るはずです。
      高専生には、ぜひ大学院に来て勉強してほしいですね。大学には様々な学部があり、国際交流などのチャンスもあります。高専の実践的な勉強に大学院での多様な経験が加われば、その後の人生においてきっとプラスになると思います。

    【Profile】
    ナノ流動研究部門
    量子ナノ流動システム研究分野
    博士課程2年 上根 直也
    2016年に米子工業高等専門学校を卒業。引き続き専攻科に進学し、2018年に修了。同年に東北大学大学院工学研究科修士課程、2020年に博士課程に進学。2021~2022年に米国ペンシルバニア大学滞在研究員。日本学術振興会特別研究員(DC1)。