高専から流体研へ 〜流体研で研究に取り組む学生の声〜

ソーラーカー設計でセンスを磨き、コンピューターを使った新たな設計へ

    • ※所属はインタビューを実施した2022年2月時点のものです。

■ソーラーカー設計で流体工学に興味

  • 関西の出身で、神戸市立工業高等専門学校に在学していました。高専ではソーラーカーチームに所属し、ボディ―の設計を担当しました。ボディを設計するということは、流体抵抗を減らすような形状をつくるということです。そこで流体数値シミュレーションを使った抵抗評価などを行っていたこともあり、流体工学に興味を持ちました。
    もともと乗り物全般が好きで、大学院では航空宇宙分野の流体工学をテーマにしたいと考えました。流体分野においては基礎的な研究を行う大学が多かったのですが、東北大学の流体科学研究所は、衝撃波を抑える飛行機や火星飛行機など、実際に形になることを前提とした研究が多いように感じました。ここならやりたい研究ができると思い、東北大学に決めました。

■コンピューターで航空機を設計する

現在取り組んでいるのは、航空機や流体機械の設計最適化アルゴリズムの研究です。従来の設計では人が設計して実験し、その結果をもとに設計を修正するというサイクルを繰り返します。この試行過程をコンピューターで置き換える研究になります。流体工学とAIの融合研究ですね。今までにない新たな設計手法を開発するという意味でやりがいがあります。
流体研は高性能のスパコンを所有しており研究環境が整っています。また流体研では多様な研究が行われているので視野が広がり勉強になりますね。立地が都市部に近いのもいいところだと思います。

■新たな設計手法でよりよい製品を生みだしていきたい

高専に入る前からずっと、実際に社会で使われるものを作る仕事に就きたいと考えてきました。将来の夢は、新しい設計手法によってよりよい製品を作ることです。手法が変われば、より高い機能を実現したり、設計プロセスを効率化したりすることができます。中でも流体数値シミュレーションをはじめとするコンピュータシミュレーションを用いた設計は、新しい手法として有効です。こういった手法の実用化に貢献したいですね。

■ものづくりの経験でセンスを養おう

  • 高専生は勉強と学んだ内容の応用を同時に経験できる環境にあります。高専生のみなさんには存分にものづくりの体験をしてほしいですね。私自身でいえばソーラーカーチームは本当に大きな経験になりました。工学的なセンスはものづくりを経験するほど養われます。目の前で起こっている現象がどのようなメカニズムで起こっているのか気付く力は、机上で知識を得るだけでは身に付きません。高専の在学中は、そのセンスを養う絶好の時期といえるでしょう。

【Profile】
流動創成研究部門
流動データ科学研究分野
修士課程1年 中谷 直輝
2019年に神戸市立工業高等専門学校機械工学科を卒業。引き続き専攻科機械システム工学専攻に進学し、2021年に修了。同年に東北大学大学院工学研究科修士課程に進学。