所長挨拶

所長挨拶
東北大学流体科学研究所 所長佐藤 岳彦
流体科学研究所は、1943年に高速力学研究所として創設されて以来、流れの科学を基盤とした学術研究を推進し、我が国の科学技術の発展に貢献してまいりました。1989年には流体科学研究所へと改組され、「流体科学の基礎研究と、それを基盤とした先端学術領域との融合、ならびに重点科学技術分野への応用において世界最高水準の研究を推進して、新しい学理を構築、社会が直面する諸問題を解決するとともに、世界で活躍する若手研究者・技術者を育成する」ことを使命とし、研究に取り組んでいます。
研究対象は、環境・エネルギー、医工学、ナノテクノロジー、航空宇宙と多様で、気体・液体・固体のマクロな流動から分子・原子スケールのミクロな流動に至る、広範な時空間スケールにおける「流れ」の本質解明と応用展開を進める研究拠点として発展してきました。これらの研究は、3研究部門2センターにある32研究分野(客員含む)に加え、本研究所が有するスーパーコンピュータや低乱熱伝達風洞、衝撃波関連施設などの世界的に高度な研究基盤の活用、さらに共同利用・共同研究拠点としての国内外研究者との連携によって支えられています。世界の研究機関との国際連携も広範にわたり、フランス・リヨン大学を始めとする国際交流は、国際共同研究だけでなく若手研究者の育成にもつながっています。
本研究所では、時代の要請に応える研究組織として、衝撃波に関する世界的研究拠点であった衝撃波研究センターを改組・拡充し2003年に流体融合研究センターを発足させました。2013年には未到エネルギー研究センターへと転換し、さらに2022年には統合流動科学国際研究教育センターとして新たに改組発足しました。この統合流動科学国際研究教育センターでは教育研究機能の強化だけでなく、社会課題解決に直結する研究展開を図っています。中でも、燃料アンモニア研究は、国際的に先導する重要な取り組みの一つであり、脱炭素社会実現に向けた新たな技術基盤の構築を進めています。
現在、本研究所では、東北大学が国際卓越研究大学として新たな展開を進める中、脱炭素社会の実現を主眼として、基礎から応用、さらには社会実装までを一貫して推進する「脱炭素・革新製造プロセス国際センター」を2026年度に設置しています。本センターでは、その推進基盤の一つとして研究エコシステムの構築にも取り組みつつ、最先端のプラズマ・熱・物質輸送制御手法について国際卓越教員と共同で研究を実施し脱炭素社会の実現に向けた研究体制を整えています。さらに、設置予定のシンガポールCREATE拠点との連携も視野に入れ、活動を展開しています。
最後に、本研究所の強みは、学際的かつ国際的な研究環境にあります。ナノテラスをはじめとする本学の最先端研究基盤との連携や本研究所が主催する国際会議の開催を通じ、国際頭脳循環の中核として、世界中の優れた研究者が集う拠点としての魅力をさらに高めていきます。これらの取り組みを支える最も重要な基盤である「人」が、誇りと意欲を持って研究に取り組み、自由闊達な議論の中から新たな価値が創出される環境を整え、守っていきたいと考えています。
今後とも、関係各位のご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2026年4月
