所長挨拶

所長挨拶

東北大学流体科学研究所 所長丸田 薫

本研究所は、高速力学研究所として1943年(昭和18年)に創設され、1989年(平成元年)に当時の神山新一所長の下で改組転換され「流体科学研究所」となり今日に至っています。流体科学研究所は、流体科学の基礎研究を基盤とした先端学術領域との融合、および重点科学技術分野への応用に関する世界最高水準の研究を推進すること、また研究を通じて社会の諸問題解決に貢献すること、さらに国際水準の次世代研究者および技術者を育成することを使命と目標に掲げております流体科学は、気体・液体・固体の流れを連続体の流動として扱うマクロな視点と、分子・原子・荷電粒子の流動として扱うミクロな視点の双方から、物質の流れのみならず熱・エネルギー、情報などのあらゆる流れを解明する学問領域です。研究対象を応用分野と関連づけると、エネルギー・環境、航空宇宙・機械、医工学、新デバイス、高機能材料・物質科学、流体システム等のキーワードが挙がり、また対象となる空間的・時間的スケールは広範囲におよびます。

本研究所は現在、流動創成研究部門、複雑流動研究部門、ナノ流動研究部門の3研究部門、および附属未到エネルギー研究センター、附属リヨンセンター(材料・流体科学融合拠点)、さらに共同研究部門先端車輌基盤技術研究IIを加えた32の研究分野、さらに研究設備に関する実務全般を支える技術室を有しています。また本研究所は文部科学省に認定された流体科学の共同利用・共同研究拠点となっており、各教員が独自に行う共同研究の他に、この同事業により年間100件を越える内外機関との共同研究を本研究所がサポートし実施しております。

多様な研究活動を推進するため、研究所独自のスパコンを運用する未来流体情報創造センター、風洞・衝撃波関連施設を運用する次世代流動実験研究センター、国際交流を支援・促進する国際研究教育センター、航空宇宙関連の研究教育を推進する航空機計算科学センターの4センターを擁しております。このうち未来流体情報創造センター、次世代流動実験研究センターは大型研究設備に関するセンターである一方、国際研究教育センターは本研究所が長きに渡り構築してきた、リエゾンオフィスなどの海外拠点や国際ネットワーク活動による研究や教育を統合・発展したセンターです。また2018年開設のリヨンセンターは近い将来、本所の欧州研究拠点となることを目指しています。

本研究所は2015年に、VISION2030を採択しました。流体科学研究所が構築した世界の共同研究ネットワークを活用しながら、2030年までに「流体科学における世界拠点」となり、安全・安心・健康な社会の実現、快適で豊かな社会の実現を目指すものです。またその中で研究の出口戦略の一つとして、研究クラスターという概念を導入しております。現在までに再定義を経て、環境・エネルギー、人・物質マルチスケールモビリティ、健康・福祉・医療の3研究クラスターが設けられ、クラスター主導のプロジェクト型研究を進めています。所内研究者は専門分野を越え、多くの場合複数のクラスターに所属しています。

これに限らず、現在の社会課題はより複雑で広域に跨がり、その解決には異分野連携や国際協力が必須です。物質やエネルギーの輸送・化学反応を含む事象を研究対象とする「流体科学」の特性を活かしながら、基礎研究、内外の多くの共同研究パートナーとの協働を通じて、流体研構成員が一丸となって研究・教育・社会貢献を進めていく所存でございます。2004年から毎年継続して主催している国際会議ICFDも本年は初めてオンライン形式で開催し、500名を越える世界の研究者にご参加いただきました。またコロナ禍における新たな試みとして、世界の著名研究者によるFlowDynamics Webinarを開始しております。

私は、高速力学研究所としての創立から77年を迎える本年2020年4月より流体科学研究所の所長を仰せつかることになりました。微力ながら誠心誠意、全力で務めさせていただく所存でございます。今後ともご関係各位のお力添え、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、心よりよろしくお願い申し上げます。

2020年12月