2025年6月1日、東北大学流体科学研究所は、国際卓越研究者制度の第1号として、S. Mani Sarathy 教授を迎えました。

　Sarathy 教授は、サウジアラビアのキング・アブドラー科学技術大学（KAUST）を拠点とする、燃焼化学および持続可能な燃料の分野で世界的に認められた権威ある研究者です。Highly Cited Researcher に選出されており、将来を見据えたクリーン燃料、燃焼技術、生産システムの設計に重点を置いた研究を展開しています。これまで、脱炭素社会の実現に向けた燃料科学研究を推進し、産学連携を通じた国際的な研究ネットワークの構築に大きく貢献してきました。特に、低炭素水素・アンモニア燃料の製造、アンモニアと炭化水素の混焼戦略、AIを活用したモデル化手法の開発において先駆的な業績を挙げています。

　流体科学研究所では現在、国際的なアンモニア・サプライチェーンの構築を目指した研究戦略を推進しています。Sarathy 教授の着任は、その中核を担う国際招聘人事であり、グローバルなアンモニア・サプライチェーンの設計、ライフサイクル評価および技術経済性モデルの実施、さらにはアンモニア燃焼システムの開発に注力していきます。流体科学研究所は、Sarathy 教授の参画により燃料アンモニアの国際的なサプライチェーンに関する研究における世界的なトップリーダーになることを目指しています。これにより、研究所の脱炭素・エネルギー分野における研究の加速と、国内外の研究機関や産業界との連携も一層強化されると期待されています。

　Sarathy 教授の主な研究課題は以下のとおりです：
• 革新的な動力学モデリングアプローチに基づく、アンモニア・ディーゼル混焼のためのAIに基づく動態模型の開発
• 機械学習アルゴリズムの学習のための量子計算によるアンモニア-炭化水素混合物に関する大規模な熱化学データベースの構築
• 次世代放射光施設NanoTerasu（ナノテラス）における先端的なシンクロトロン技術を活用し、極限燃焼環境下におけるアンモニアと材料との相互作用を解明
• グローバルなアンモニア・サプライチェーンを設計するためのライフサイクル評価および技術経済解析の実施

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Sarathy教授着任のご挨拶

「東北大学の一員になることは、職務上の栄誉であると同時に、個人的にも大きな実りある節目になります。東北大学は、クリーンエネルギー革新と実験科学において卓越したリーダーシップを発揮しており、これにより大きなインパクトを生み出す研究のための独自の基盤を提供しています。燃焼化学と持続可能な燃料に関する専門知識を活かして、私たちが直面するエネルギーと気候に関する課題に熱い想いで取り組む所存です。」

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統合流動科学国際研究教育センター（IFS-GCORE）