CFD実用化の新しい研究の方向として、空力最適設計の研究を進めている。最適化法として進化的計算法(遺伝的アルゴリズム)を柱とし、遷音速旅客機主翼最適化のために以下の3つのアプローチを研究してきた。
CFD実用化の新しい研究の方向として、空力最適設計の研究を進めている。最適化法として進化的計算法(遺伝的アルゴリズム)を柱とし、遷音速旅客機主翼最適化のために以下の3つのアプローチを研究してきた。
逆設計では構造的な条件を考えたり、胴体やエンジンを考慮した複雑形状を考えたりすることに原理的な難しさがある。そこで、形状を直に取り扱う通常の最適化問題も研究している(逆問題に対し順問題ともいう)。このアプローチには、空力解析を繰り返すので計算コストが非常に高いことや、目的関数の分布が必ずしも滑らかではないこと、翼のように微妙な形状を最適化するために設計変数の数が非常に多くなることなどの問題がある。まず、計算量が増えることには並列計算で対応できる。現在、広大な設計空間中でも遺伝的アルゴリズムによる探索が比較的容易にできるように、設計変数を構造化するある種の前処理法や解集団に適応していく手法を研究している。
次元の逆最適設計を行う際に、翼の形状抵抗最小化と誘導抵抗最小化を両立させるために単一目的の遺伝的アルゴリズムを多目的遺伝的アルゴリズムに拡張する必要があった。勾配法と違い、多目的遺伝的アルゴリズムでは様々なトレードオフを持つ解を一度に多数求めることができる。この多目的最適化の手法には、航空機設計において様々な応用がある。たとえば概念設計段階で空力・構造・ペイロードのトレードオフを取ることに適用できる。そこでこの手法を空力・構造・燃料容量を考慮して翼平面形を決めるために適用した。多目的遺伝的アルゴリズムの研究は、遺伝的アルゴリズムの重要な応用分野として注目されている。