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2021.08.24

【プレスリリース】ロケット・エンジンの数値計算と実験の定量比較を可能とする手法の開発〜CFD結果と実験で得られるOH*発光を比較可能とする手法の開発〜 (2021.8.24)

【発表のポイント】
・ロケット・エンジンは極限状態での燃焼現象であり,実験によって得られる情報は限られている.
・詳細な情報が得られる数値計算を用いた実験の再現が求められるが,数値計算のモデル検証に必要な実験データも存在しない.
・実験で比較的容易に得られるOH*の発光に対して,数値計算結果を定量的に比較できる手法を開発した.

【概要】
ロケット・エンジンは高温・高圧の条件で燃焼するため,実験で計測できるデータは非常に限られており,ロケット・エンジン内の燃焼現象を詳細に理解することは困難です.そこで,数値計算による実験の再現が期待されていますが,現在の実験で得られるデータだけでは,数値計算のモデル検証も容易ではありません.
東北大学流体科学研究所エネルギー動態研究分野の森井雄飛助教は,ドイツ航空宇宙センター(DLR)と共同で,ロケット・エンジンの数値計算結果と実験データを定量的に比較可能な新しい手法「SMART」を開発しました.この新手法により,実験で比較的簡単に得られるOH*発光に対して,数値計算結果を定量的に比較することが可能となりました.このOH*発光は従来法では定量比較が困難であった燃焼で重要となる化学反応に関わる現象であり,数値計算モデルの中でも最も重要な化学反応のモデル化に対する精度向上に大きく寄与すると期待されます.
本成果は燃焼分野で最も権威のある学術誌Combustion and Flameに2021年8月2日にオンライン掲載されました.


図1. (a)に実験で得られた結果,(b)に数値計算結果に従来法を適用した結果,(c)に数値計算結果に新手法「SMART」を適用した結果を示す.従来法を適用した(b)に比べて,SMARTを適用することで数値計算結果の実験再現性が向上している.

<関連リンク>
東北大学プレスリリース
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東北大学流体科学研究所
担当 森井雄飛
電話 022-217-5296
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(報道に関すること)
東北大学流体科学研究所
広報戦略室
電話 022-217-5873
E-mail  ifs-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)