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2021.12.01

【プレスリリース】リチウムイオン電池の電解液主成分の着火反応を解明~発火しない電池の開発に前進~(2021.12.1)

【発表のポイント】
・リチウムイオン電池の電解液主成分(炭酸エステル)の着火反応を解明。
・炭酸エステルの統合燃焼反応モデルを世界で初めて構築。
・電解液主成分の正確な着火限界予測により、発火しない安全なリチウムイオン電池の開発や運用に資することが期待される。

【概要】
リチウムイオン電池の利用が急激に拡大しています。その一方で、リチウムイオン電池の電解液に有機溶媒を使用することに起因するバッテリーの発火事故が問題となっています。

東北大学流体科学研究所の中村寿准教授・丸田薫教授らの研究グループは、独自に開発した温度分布制御マイクロフローリアクタを用いて、リチウムイオン電池の電解液の主成分である炭酸エステルの着火過程を調べ、分子構造のわずかな違いで着火のしやすさが大きく異なることを実験的に示しました。さらに、炭酸エステルの統合燃焼反応モデルを世界で初めて構築しました。

本研究成果は、発火しない安全なリチウムイオン電池の開発や運用に資することが期待されます。また、再生可能エネルギー由来の合成燃料(e-fuel)として炭酸エステルを合成燃料として用いる高効率燃焼機器の設計開発にも資することが期待されます。

本研究は、国際学術誌「Combustion and Flame」に二編構成にてオンライン掲載されました(第一編:2021年11月4日、第二編:2021年11月28日)。

本研究は、JSPS科学研究費助成事業16H06068、19KK0372、20J12398の助成を受けて実施されました。



炭酸エステルの着火過程の模式図とマイクロフローリアクタにおける微弱火炎画像
(エチル基を持つEMCとDECの方がメチル基のみのDMCより低温側に反応帯が位置する=着火しやすい)



【関連リンク】
東北大学プレスリリース
研究室ウェブサイト


【問い合わせ先】

<研究に関すること>
東北大学 流体科学研究所
准教授 中村 寿
電話 022-217-4438
E-mail hisashi.nakamura*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学 流体科学研究所
広報戦略室
電話 022-217-5873
E-mail ifs-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)