流動創成研究部門

流動データ科学研究分野

  • (兼)教授大林 茂

  •  

これまでの工学設計・開発は主に、人間の知識や経験、勘を頼りに行われてきました。しかし昨今では、コンピュータがその役割を担うことで、設計者の技量に依ることなく、多種多様な工学機械の「ものづくり」を支援しています。そこで当研究室では、流体解析に数理的・データ科学的アプローチを融合させることで、家電などの小型のものから、自動車・航空機などの大型のものまでを対象として、流体機械とそのシステムの最適化・強靭化・知的化に貢献する研究に取り組んでいます。

流体機械の多目的設計最適化

革新的な工学設計を創出する方法として、「進化計算」をコア技術とした多目的最適化手法を開発し、流体機械の設計事例への応用に取り組んでいます。相反する設計目的の下に存在する様々な最適設計案を見つけ出し、それらに潜在する特徴的な情報を機械的に抽出することで、新たな設計知識の発見に役立てています。

流体解析・設計における不確かさ評価

実世界に見られる流体現象は、無数の「不確かな」物理要因が複雑に絡み合って発生します。流体現象の再現を目的とした数値解析は通常、こういった不確かさの存在を無視して単純化されることが多く、その結果は実現象とかけ離れたものとなります。そこで本研究では、流体解析の中で不確かさに対する物理量の挙動を定量的に評価することで、流体現象の正しい再現や流体機械の信頼性設計に役立てています。

代替モデリングによる流体解析・設計の高効率化

工学設計の現場では、与えられた設計要求を満足する設計案が得られるまでのターンアラウンドタイムの短縮が望まれています。そこで本研究では、設計案の形状変化に対する性能の複雑な応答を数学式として記述する「代替(サロゲート)モデル」を開発しています。これにより、形状の異なる任意の設計案についてその性能を瞬時に推定できるようになり、流体解析および設計の時間短縮に役立てています。