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2022.02.09

【研究成果】世界唯一の高性能ラティス型ヒートシンク構造を創出〜積層造形・データ科学・伝熱制御の融合による革新的設計〜(2022.2.9)

【発表のポイント】
・最新の積層造形(*1)により、複雑なラティス(格子状)型ヒートシンク構造を成形。
・データ科学(*2)と伝熱制御を基盤とした、ヒートシンク複雑構造設計手法を開発。
・既存のヒートシンクに比べて、排熱効率を8%改善できる新構造を創出。

【概要】
パソコンのプロセッサなどの高温デバイスから排熱するために、「ヒートシンク」と呼ばれる金属部品が用いられます。
高温デバイスからヒートシンクに伝わる熱と、ヒートシンクの隙間を通る低温空気の流れをうまく干渉させることで、排熱効率の向上が期待されます。しかし、従来の加工技術で製作されるヒートシンクはその構造が単純なものに限られていることから、高性能化を十分に追求したものとは言えませんでした。

東北大学流体科学研究所の下山幸治准教授(流動データ科学研究分野)および小宮敦樹教授(伝熱制御研究分野)の両研究グループは、ヒートシンクの構造を最新の「積層造形」で成形できる複雑構造(ラティス型)に拡張し、さらに「データ科学」および「伝熱制御」の両学理を基盤としたヒートシンク複雑構造の設計手法を開発しました。
そして、既存のヒートシンク構造(ピンフィン型)に比べて、高性能を実現できる世界唯一のラティス型ヒートシンク構造を創出することに成功しました。

本研究成果は、自然空冷で性能を発揮するエネルギー機器として、持続可能なエネルギー社会への貢献に資することが期待されます。
また、高性能化だけでなく、軽量化や省スペース化などの昨今の厳しい設計要求に応えるべく、複雑構造の細部までを詳細に設計する様々なものづくり事例にも資することが期待されます。

本研究は、2022年1月3日にSpringer Natureが発刊する学術専門誌「Structural and Multidisciplinary Optimization」に
研究論文としてオンライン掲載されました。

https://doi.org/10.1007/s00158-021-03092-x

本研究は、(株)NTTデータエンジニアリングシステムズとの共同で実施されました。


ヒートシンクの既存構造および新構造で発生する流れの様子の比較(色は温度、矢印は周囲空気流れを示す)

詳細(研究成果リリース文書)

【関連リンク】
流動データ科学研究分野
下山研究室
伝熱制御研究分野
小宮研究室


【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学流体科学研究所
准教授 下山 幸治
電話 022-217-5267
E-mail shimoyama@tohoku.ac.jp

東北大学流体科学研究所
教授 小宮 敦樹
電話 022-217-5876
E-mail komiya@tohoku.ac.jp

(報道に関すること)
東北大学流体科学研究所 広報戦略室
電話 022-217-5873
E-mail ifs-koho@grp.tohoku.ac.jp