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2026.05.21

【プレスリリース】大型洋上風力ブレードの破壊特性を考慮した設計フレームワークを開発 -炭素繊維の特性がブレード構造重量に与える影響を世界で初めて定量評価- (2026.5.21)

【発表のポイント】
・繊維スケールの微視的破壊(マトリクスき裂・繊維圧縮座屈・せん断座屈)を考慮したマルチスケール数値解析フレームワークを構築し、流体力学と構造力学を統合した自動設計を実現しました。
・10MW級洋上風力発電機(スパン長90m)ブレードを対象に、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)とCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を比較し、材料の違いが部材厚さ分布・破壊モード・全体重量に及ぼす影響を世界で初めて定量的に解明しました。
・剛性の高いCFRP繊維(T1100G)の採用により最も軽量な構造が得られることを実証し、早期設計段階で材料選定指針を提供できる設計支援フレームワークの有効性を示しました。

【概要】
 風力発電の大型化が進む中、スパン長90mに達する洋上風力発電機ブレードの設計では、高比強度・高比剛性の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の採用が有力な選択肢となっています。しかし、CFRPは繊維とマトリクス(樹脂)の特性差に起因する複雑な破壊挙動を示すため、実験のみによる設計評価は多大なコストと時間を要します。

 東北大学大学院工学研究科の山﨑智基氏(現:株式会社IHI)と流体科学研究所の阿部圭晃准教授(共同筆頭著者)、大学院工学研究科の狩野良輔氏、伊達周吾氏(現:三菱重工業株式会社)、岡部朋永教授らの研究チームは、微視力学(ミクロスケール)から構造全体(マクロスケール)までを一貫して扱うマルチスケール数値解析フレームワークを開発しました。このフレームワークは、空力荷重の計算から始まり、複数の破壊モードの安全率を満足するよう部材厚さを反復自動更新する「構造サイジング」プロセスを組み込んでいます。その結果、GFRPモデルでは前縁パネルにマトリクス支配破壊が先行して局所的に肉厚となる一方、CFRPモデルでは全般的にせん断座屈が支配的となること、および繊維剛性が最も高いT1100Gが最軽量ブレードを与えることが定量的に示されました。本フレームワークにより、実機製造前の早期設計段階における材料選定の設計効率化が図られます。

 本研究成果は、2026年5月19日に土木・建築・機械系の国際専門誌 Engineering Structures に掲載されました。



図1. 10MW級大型風力発電ブレードの構造モデルと空力解析結果



【論文情報】
タイトル:Multi-scale numerical framework for effects of fiber properties on designing composite wind turbine blades
著者: Tomoki Yamazaki, Yoshiaki Abe*, Ryosuke Kano, Shugo Date, Tomonaga Okabe ( 共同筆頭著者)
*責任著者:東北大学 流体科学研究所 准教授 阿部 圭晃
掲載誌:Engineering Structures
DOI:10.1016/j.engstruct.2026.122885


<関連リンク>
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E-mail: ifs-koho*grp.tohoku.ac.jp
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